MINI クロスオーバー ミニクーパーS(R60)の実力・評価

ミニクロスオーバー ミニクーパーS ALL4(4WD)

2011年に登場したコンパクトSUVのMINIクロスオーバー(R60)。オシャレかつワイルドなルックスに「4ドア+バックドア」を備えた実用性の高い人気モデルです。ファミリーユースをはじめ様々なカーライフに活用できるため、MINIのオーナー層をグンと広げました。

そんなデザイン性と実用性を兼ね備えたクロスオーバーですが、実際に購入を検討する際は、

車としてのポテンシャルはどれほどか?

MINIを大きくしただけのファッションSUVなのかな?

という疑問をもつ方も少なくないでしょう。

このモヤモヤをスッキリさせてくれる動画が、Youtubeチャンネル「StartYourEngines」で公開されています。

StartYourEnginesは、車の加速や減速、ハンドリングにおける限界性能や安全性をテスト&評価している自動車専門チャンネルです。元レーシングドライバー(現モータージャーナリスト)のテスターによって「試乗だけでは分からない本当の実力」を知ることができます。

クロスオーバー(R60)の購入を検討している方はもちろんのこと、現オーナーで「新型のクロスオーバー(F60)」に乗り換えようか迷っている方も、愛車を再評価する機会になると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

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テスト車両:クーパーS ALL4

ガソリンエンジン 1.6L&ターボの4WDモデル

ミニクロスオーバー ミニクーパーS ALL4(4WD)

テストに使用されているモデルは、2011年発売の前期型「MINIクロスオーバー クーパーS ALL4」。ガソリンエンジンの1.6リッター4気筒ターボを搭載した4WD仕様のスポーツグレードです。6速マニュアルも用意されていますが、テスト車は6速オートマチックになります。

クロスオーバーは「2014年9月にマイナーチェンジ(後期型)」していますが、主な変更内容は燃費やトルクに優れたディーゼルエンジンモデルの追加となっており、従来からあるモデルのエンジンやトランスミッションなど基本コンポーネントは同じです。そのため、マイナーチェンジ後のモデルを検討している方にも参考になるテストです。

ただし、テスト車両は4WD仕様の「ALL4」ですので、テスト内容によっては2WDのモデルに比べて若干のアドバンテージがあるかもしれません。いずれにしても、車そのものの素性は変わりませんので参考になるでしょう。

テストは全部で4種類。加速やブレーキ性能、高速走行の安定性、滑りやすい路面での安全性など、あらゆる観点から車の性能を評価しています。

テスト1:加速と減速

ブレーキの制動力はポルシェGT3レベル!

再生時間:1分10秒 配信元:StartYourEnginesX

完全に停止した状態からの加速と、スピードに乗った状態からの急ブレーキのテスト。加速のスムーズさやフィーリング、いざという時のブレーキの効き具合をチェックします。

テスト結果の要約

クーパーS ALL4(1.6L 4気筒 ターボ/6AT/4WD)

  • MINIだが中身はちゃんとしたBMW

    ※MINIはBMWが開発しています。

  • デカくて重いが前のクーパーSよりも進化している

    ※ここでのクーパーSがどのモデルを指しているか不明(おそらく前期型のR56ハッチバック クーパーS)

  • トルコンATによって発進からすべてがスムーズ
  • ターボエンジンとトルコンATの相性が良い
  • トルク切れがなく気持のよい加速
  • ブレーキは「ルノー メガーヌRS」や「ポルシェGT3」なみに効く(驚き)

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テスト2:ハイスピードライディング

ドライバーの操作に素早く反応!

再生時間:1分30秒 配信元:StartYourEnginesX

ハイスピードライディングは、直線と緩やかなバンクコーナーを高速で走るテスト。高速域での車体の安定性や車線変更のフィーリングをチェックします。

テスト結果の要約

クーパーS ALL4(1.6L 4気筒 ターボ/6AT/4WD)

  • 高速では小指一本分ハンドル切ったら隣のレーンに移っちゃうくらいステアリングがしまっている(曲がりやすい)
  • 車高は高いがロール剛性(左右の傾き)が良くピッチング(前後の傾き)もない
  • ハンドル、ブレーキがよく効く、スロットルも感度が良い
  • ドライバーの操作に素早く反応してくれる
  • ハイテクというより技術を深掘りして車を熟成している凄さ
  • アジリティ(旋回能力)が高い車に見えないが、乗ってみると印象が変わる
  • これならばWRC(世界ラリー選手権)でチャンピオンをとれる気がする

テスト3:ダブルレーンチェンジ

100万回テストしたような優れたデキ!

再生時間:1分45秒 配信元:StartYourEnginesX

ダブルレーンチェンジは、隣の車線に素早く移動して、すぐに元の車線に戻るテスト。路上に突然の障害物があった場合に、その回避性能をチェックします。

テスト結果の要約

クーパーS ALL4(1.6L 4気筒 ターボ/6AT/4WD)

  • 高いスピードでレーンチェンジして、戻れないような速いスピードで元のレーンに戻れてしまう(横Gが凄い!)
  • 今まで乗ったどの車よりもリアブレーキのDSC(横滑り防止)の制御を使っている
  • ダブルレーンチェンジを100万回テストしたような感じ(驚くほど優れている)
  • 基本性能の高さと緻密な電子制御を組み合わせた、究極のアナログ&デジタルカーみたいな感じ
  • このレベルの車をこのセグメントで実現しているBMWは恐ろしい

テスト4:ウェット旋回ブレーキ

ドライバーのテクで性能を発揮できる車!

再生時間:1分45秒 配信元:StartYourEnginesX

ウェット旋回ブレーキは、雨で濡れた路面を旋回しながらブレーキをかけるテスト。滑りやすい路面状況において、制動力や安全性をチェックします。

当テストのクロスオーバーが装着しているタイヤは、18インチ「PIRELLI Cinturato(225/45 R18 91V)」です。

テスト結果の要約

クーパーS ALL4(1.6L 4気筒 ターボ/6AT/4WD)

  • ブレーキ最優先の制御(制動力を出し切っている)
  • ライントレースも悪くない
  • これくらい攻めた制御がよい(ほかの車はドライバーが緊急のブレーキを求めても、それと同じ緊急度で答えてくれないため)
  • ドライバーの意思に車がちゃんと反応してくれる
  • 正しい意思・判断ができるドライバーが乗れば面白くなる車
  • 意思の無いドライバーが乗ると宝の持ち腐れ(本来の性能を引き出せない)
  • 的確な操作ができれば車は十分に答えてくれる
  • 車体の大きさや背の高さ、車重を要因とした言いワケ(運動性能の低下)は、この車には存在しない

テスト結果まとめ

クロスオーバーは優れたポテンシャルを秘めた大きなMINI

ミニクロスオーバー ミニクーパーS サンルーフ付き

ダメなものはダメというスタンスのテストですので「厳しい評価になるかもしれない」と心配していましたが、フタを開けてみれば全体的に好評価が多く、特にネガティブな指摘もありませんでした。

テスト後の評価を総括すると「大きなクロスオーバーもMINIの楽しさを持っており、驚くほどちゃんとしたBMW車!」という感じですね。

テスト冒頭では「中国メーカーがパクったようなデザイン」という辛辣なコメントがみえましたが、テストが進むにつれて、車としての基本性能に驚く場面が増えていく流れは、いちMINIファンとして痛快でした。

※デザインについては、好みのレベルで語られているので気にすることはありません。自分の感性を信じましょう。

なかでもテスト3の「ダブルレーンチェンジ」の評価は、2011年にテストしたプレミアムカーの中で堂々の第6位です。

2011年 ダブルレーンチェンジ BEST10

  1. ポルシェ カイエン S
  2. アウディ A8 4.2FSI クワトロ
  3. メルセデスベンツ C 250
  4. ルノー メガーヌ RS
  5. メルセデスベンツ CLS 350
  6. ミニ クロスオーバー クーパーS ALL4
  7. プジョー RCZ
  8. プジョー RCZ カーボンルーフ
  9. アバルト プント Evo
  10. レンジローバー スポーツ 5.0 V8

出展:2011年ダブルレーンチェンジトップ10

低重心クーペスタイルの「プジョー RCZ」やホットハッチの「アバルト プント Evo」よりも高いランクというのが、クロスオーバーの懐の深さを物語っていて面白いですね。

一般的にMINIはポップなキャラクターイメージが先行する車で、性能はそれほど重要視されていない傾向があります。ところが、昨今の「SUV=スポーツ・ユーティリティ・ビークル」ブームの中で、ちゃんと真面目に「SUV」していたクロスオーバーには、ポップとは真逆のシブさを感じます。

実際には、こういった限界領域での性能が役立つ場面は少ないと思いますが、ポテンシャルの高い車は所有する歓びも満たしてくれますので、クロスオーバーを選ぶ理由の1つになるでしょう。

このテストでMINIクロスオーバー(R60)は「実用性だけではなく、優れたポテンシャル(基本性能、安全性)も兼ね備えたMINI」ということが分かりました。「デザインは好きだけど、車としてはどうなの?」と思っていた方には、背中を押す結果となりましたね。

テスト車両の詳細スペック

MINIクロスオーバー クーパーS ALL4

ミニクロスオーバー ミニクーパーS フロントとリア

クーパーS ALL4 クーパーS
発売 前期:2011年1月~
後期:2014年9月~16年
前期:2011年1月~14年
後期:なし
価格 AT 398万円
前期と後期の違い エンジンやトランスミッションなどのメカニズムは基本的に同じ(内装と外装に小変更あり)。後期型はクーパーSの代わりにディーゼルエンジンを搭載した「クーパーSD」を設定。
駆動方式 4WD 2WD
トランスミッション 6速AT(マニュアルモード付き) / 6速MT
エンジン ガソリンエンジン
1.6L 4気筒 ターボ
最高出力 前期:184ps
後期:190ps
184ps
最大トルク 240Nm
燃費 前期:AT 12.2km/L
後期:AT 12.5km/L
AT 14km/L
燃料 無鉛プレミアム(ハイオク)
定員 5名(4名仕様も有り)
全長x全幅x全高 4120x1790x1550
車両重量 AT 1460kg AT 1390kg

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by StartYourEnginesX

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text by minicooper-sketch.com