動画:大きいだけ!? 新型MINIクラブマン(F54) の実力と評価
2015年11月の発売から、注目の的となっているビッグサイズのMINI「新型クラブマン(F54)」。4ドアと広い室内を得て、完全に家族仕様となったクラブマンは、従来のMINIファンだけではなく、個性的なプレミアムワゴンを求めている方にも気になる1台です。
その特徴的なデザインによってキャラクターが先行するクラブマンですが、実際に購入を検討する際は「クルマとしての実力」が気になるところです。
クラブマン クーパーSとFIAT 500Xの比較テスト動画
左:クラブマン クーパーS /2.0L 右:FIAT 500X /1.4L
新車のインプレッションや性能テストを行っている動画専門サイト「StartYourEngines」で、クラブマンのクーパーSとFIAT 500Xの比較テストが公開されています。
クラブマンの比較対象となっているFIAT 500Xは、FIATブランド初のスモールSUVで、クラシックなデザインを受け継ぐコンセプトはMINIと共通するものがあります。スモールセグメントながら、最上位グレードには四輪駆動の9速AT仕様を用意するなど「デザインだけではない」ところもMINIと似ています。
FIAT 500Xのボディサイズはクラブマンより小さく、全長はMINI 5ドア(F55)に近いサイズ感です。実際にはクラブマンよりコンパクトSUVのMINIクロスオーバー(R60)と競合する車種ですが、発売時期が近い個性的なFF欧州車ということで比較対象になっているのでしょう。余談ですが、リアデザインが5ドアと似ていますね。
テスト車は、クラブマン クーパーSが「2リッター4気筒ターボ/192ps/8速AT」、FIAT 500X ポップスターが「1.4リッター4気筒ターボ/140ps/6速AT」です。ともにガソリンエンジンで、18インチタイヤを装着しています。
比較テストでは、クラブマンのキャラクターに隠された真の実力が発揮されています。「クラブマンはデカいだけなのか!?」その答えは、以下の動画でチェックしてみてください。
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テスト1:加速と減速
クラブマン:ヤバイい加速とスムーズな変速
テスト部分:0分40秒~5分45秒 配信元:StartYourEnginesX
完全に停止した状態からの加速と、スピードに乗った状態からの急ブレーキのテスト。最初にFIAT 500X ポップスター、その後にクラブマン クーパーSをテストしています(以降の動画も同じ)。
テスト結果の要約
FIAT 500X ポップスター(1.4L 4気筒 ターボ/6AT)
- ガソリンATよりもディーゼルのMTで乗りたい車
- VWのDSGよりも発進がスムーズ(制御が優れている)
- 街乗りならゴルフやアウディのDSGよりも良い
- ボディサイズに対して1.4Lターボが絶対的に力不足
- ブレーキの制動力はそこそこ
クラブマン クーパーS(2.0L 4気筒 ターボ/8AT)
- トルコンATがヤバイくらい良い(発進時)
- 車をちゃんと作っている印象
- ペダル配置と大きさが良くて運転しやすい
- トルコンATなので加速が非常に良い
- MINIだが乗り味はもの凄くスムーズで高級感がある
- 0-100km加速は非常に速いタイム
- 変速も非常にスムーズ(シフトアップが分からないほど)
- ブレーキも相当効く(感覚がポルシェに近い感じ)
- ABS(タイヤロック防止)の精度も非常に高い
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テスト2:ハイスピードライディング
クラブマン:時速200kmでも安心して走れる密室
テスト部分:0分15秒~2分52秒 配信元:StartYourEnginesX
ハイスピードライディングは、高速で直線と緩やかなバンクコーナーを走るテスト。クラブマンをロングドライブに使いたいと思っている方には、とくに参考になるテストです。
テスト結果の要約
FIAT 500X ポップスター(1.4L 4気筒 ターボ/6AT)
- 一言でいうとユニークな車
- アメリカ人にイタリア人の心臓を移植したような車
- 時速130~140kmから上はつらい
- SUVだがステアリングを切るとスっとノーズが動くとこがイタリア車
- キャラクターが非常につかみにくい車
クラブマン クーパーS(2.0L 4気筒 ターボ/8AT)
- 先代よりサイズアップしたため時速200kmでも安定・安心して走れる
- 視界の悪さ感はある
- フロントウィンドの縦幅が狭いので戦車の中から外をみている感じ
- 強風の日だが横風安定性が良く風切り音も少ない
- ソリッド(堅固)な密室に入っている感じが特徴
- 運転中に車体の大きさは感じない
- ステアリングを切るとスっと隣のレーンに行ける
- 前後のバランスは悪くない
テスト3:ダブルレーンチェンジ
クラブマン:BMWが仕上げた「絶品!」のデキ
テスト部分:0分18秒~3分10秒 配信元:StartYourEnginesX
ダブルレーンチェンジは、隣の車線に移動して、すぐに元の車線に戻るテスト。路上に突然の障害物があった場合に、その回避性能を試します。
テスト結果の要約
FIAT 500X ポップスター(1.4L 4気筒 ターボ/6AT)
- とにかく頑張っている感じ
- 元の車線に戻る時、ちょっと遅れてESC(横滑り防止)がスピードを落とす
- きめ細かい性能づくりはしていない印象
- アメリカとイタリアの合作車はこんなものかな
- 神経質でせっかちな人には向かない車
クラブマン クーパーS(2.0L 4気筒 ターボ/8AT)
- オーバースピードでもESC(横滑り防止)がドライバーの意思通りに元の車線に戻してくれる
- ESCのブレーキのかけ方が自然で上手い
- BMWのエンジニアがこだわって作り上げた「絶品」の感じがする
- BMWの走りやすいFFの源流がこのMINIにあった
- FIAT 500Xとは違う世界にいる車(完成度が格段に高い)
テスト4:ウェット旋回ブレーキ
クラブマン:18インチタイヤのウェット性能が‥
テスト部分:0分15秒~3分10秒 配信元:StartYourEnginesX
ウェット旋回ブレーキは、雨で濡れた路面を旋回しながらブレーキをかけるテスト。滑りやすい路面状況において、制動力や安全性を試します。
当テストのクラブマンが装着しているタイヤは、オプションの18インチ「ピレリ Cinturato P7(225/40 R18)」。FIAT 500Xは、18インチ「ブリヂストン POTENZA T001(225/45 R18)」。
テスト結果の要約
FIAT 500X ポップスター(1.4L 4気筒 ターボ/6AT)
- 欧州車は最後にちゃんと車を曲げる
- 旋回ブレーキの性能は悪くない
- わざとハンドルを多めに切っても曲がる
- 背が高いSUVだが最後にノーズがちゃんとイン側に向く
- 総合的にみて意外と良くできている
- 制動距離:37.0m(評価 星4つ)
※タイヤ:18インチ BRIDGESTONE POTENZA T001
クラブマン クーパーS(2.0L 4気筒 ターボ/8AT)
- ウェットで乗った瞬間に頼りない感じがあるタイヤ
- 水深がなく、ちょい濡れの路面状態でも頼りないタイヤ
- FIATのタイヤに比べてハッキリ分かるほどタイヤのウェット性能が低い
- ABS(タイヤロック防止)は要改善(ハンドルを先行したら制動距離が15%伸びた)
- ライントレース性はMINIらしい思想を持って作られている
- 制動距離:45.0m(評価 星3つ)
※タイヤ:18インチ PIRELLI Cinturato P7
まとめ:クラブマンはMINIじゃない、立派なBMW!
クラブマンが圧倒的な高評価でした。すでに各メディアのインプレッションでは、乗り心地と高級感に定評を得ていましたが、クルマの限界領域で試される当テストによって、本当の実力がリアルに証明されたというところでしょうか。様々な見方があると思いますが、RJCカーオブザイヤーを受賞するだけの価値はアリということですね。ただし、全体的な傾向としては、クラブマンに対する評価というよりも「クラブマンを作ったBMWへの信頼」が、好印象につながっているように受け取れました。
ハンドリングについても特にクセはないという感じで、同様の比較テストを行った「MINIクーパーとデミオXDの走行性能を比較テスト!」で指摘されていた過剰な「アジリティ=旋回能力の高さ(曲がりやすさ)」は、クラブマンには当てはまらないようです。
個人的にもっとも共感したのは「フロントウィンドの縦幅が狭いので戦車の中から外をみている感じ」という点です。私がクラブマンに試乗した際に一番ユニークだと思ったポイントは、このローワイドな室内空間です。クラブマンは横幅が1800mmありますが、ルーフが低いためハッチバックに乗っている感覚と少し近いものがありました。試乗を終えて改めてエクステリアを一周して思ったのが、クラブマン最大の特徴は「ボディサイズや観音開きのテールゲートではなく、戦車のようなローワイドなプロポーションなのかな」です。そしてのこれが賛否両論あるエクステリアデザインのコアになっている気がします。
対するFIAT 500Xは厳しい評価になっていますが、初SUVの初代モデルという点と、クラブマン クーパーSより約100万円安いという価格を考慮する必要があるでしょう。
テスト車のスペック比較
クラブマン クーパーSとFIAT 500X ポップスター
MINI クラブマン クーパーS |
FIAT 500X ポップスター |
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中古車情報< | – | – |
発売日 | 2015年11月 | 2015年10月 |
タイプ | ステーションワゴン | スモールSUV |
エンジン | ガソリンエンジン 2.0L 4気筒 ターボ |
ガソリンエンジン 1.4L 4気筒 ターボ |
最高出力 回転数 |
192ps 5000rpm |
140ps 5000rpm |
最大トルク 回転数 |
280Nm 1250~4600rpm |
230Nm 1750rpm |
燃費 | 8AT:16.6km/L | 6AT:15.0km/L |
燃料 | 無鉛プレミアム(ハイオク) | |
定員 | 5名 | |
全長x全幅x全高 | 4253x1800x1441 | 4060x1695x1500 |
価格(8%税込) | 384万 | 286.2万 |
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