新型MINIクロスオーバーの内装を徹底チェック!
2017年2月にフルモデルチェンジをはたしたMINIクロスオーバー(F60)は、MINIの中で最も大きなボディをもつモデルで、SUVのアクティブなスタイリングと広い室内空間による実用性の高さから、人気モデルの1つとなっている。
従来のMINIのイメージを覆すほどのボディサイズだが、デザインのコンセプトはMINIならではの世界観が反映されており、ドライバーを笑顔にさせる魅力でいっぱいだ。当記事では、その内装にフォーカスしてみよう。
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クセのないMINI流のプレミアム空間
ナビはセンターサークルと一体化
ダッシュボードは特徴的なセンターサークルを中心に据えた落ち着いたデザイン。輸入車に期待する高級感を醸し出しながらも、オジサンくさくない空間を演出している。エアコン吹き出し口やスピードメーターのアウトラインには、さりげなくクロームメッキが加飾されていて、メリハリのある表情をつくりだしている。キラキラ反射して視線を奪うクロームメッキは、使いすぎると逆に安っぽく感じさせてしまうが、この絶妙なさじ加減に、MINIブランドの本質が垣間見える。
全体的なテイストは、「ジェントルなメルセデスベンツやBMWより若々しさがあり、質感はフォルクスワーゲンよりちょっと上で、そこに遊び心がプラスされている」といった印象だ。よくある「ここはカッコイイのに、ここはダサいなぁ」というクセの強さはない。
空間の広さも十分で、MINIの基本モデルである「MINIハッチバック(3ドア/5ドア)」より明らかに開放感が高い。車幅がクロスオーバーより2センチ小さいステーションワゴンタイプの「MINIクラブマン」と比べても、頭上のスペースが広いため、思った以上に快適だ。
もちろん、クロスオーバーはSUVだから着座位置も高く、コックピットからの眺めも単純に気持ち良い。他のMINIが、前傾姿勢で地を這うようなスポーツ視点だとすれば、クロスオーバーは高台から大きく構えてマイペースで進むコンフォートな視点といえる。
ナビやインフォテイメントシステムを収めたセンターサークルにはLEDのリングが埋め込まれていて、エンジンの回転数やエアコンの温度調整と連動して点灯パターンが変化する。単純に発光色を好きなカラーにチェンジして、お部屋の間接照明的な楽しみ方もできる。筆者はハッチバックのMINI3ドア(F56)を所有しているが、ボディカラーと同じ点灯色にしたり、気分によってまったく別の色に変えたりして、その微妙な変化を楽しんでいる。
細部に光るMINIデザインの仕事
センターサークルの下にはオートエアコンのダイヤルが3つ並ぶ。ここにもクロームメッキがさりげなく加飾されていて、細部まで丁寧なデザインが行き届いていることを感じさせる。温度は運転席と助手席で別々に設定が可能な2ゾーン仕様。現在の設定温度はそれぞれのダイヤルに表示される。使い勝手はいたって普通でストレスはない。
その下には、シートヒーターやエアコンのスイッチが並び、ゴチャゴチャ感が出ないようにフラットな形状で収まっている。
さらにその下には、いかにもオシャレなトグルスイッチ風のエンジンスタート&ストップボタンを配置。心臓の鼓動を表すかのようにゆっくりと赤く点滅するギミックをもつ。リモートキーを所持した状態でこのスイッチをポンっと押せば、BMW製のエンジンが目を覚ます。その瞬間、ガソリンエンジンのクーパーSやジョンクーパーワークスならば、スポーティな排気音が後ろから聞こえてくる。このあたりのやんちゃ感は、大人びたクロスオーバーでも健在だ。
洗練されたインフォテイメントシステム
「純正HDDナビ(詳細解説)」は、すべてのグレードに標準装備。8.8インチのワイドディスプレイは視認性がよく、タッチスクリーンにも対応。ユーザーインタフェースは、イマドキのスマートフォンチックなフラットデザインが採用されている。国産車のナビのように生活感のあるデザインではないため、ダッシュボードの雰囲気を損なわない。画面遷移のモーションも洗練されていて、なかなか気持ち良い。
音楽再生は、Bluetoothで接続したスマートフォンやUSBメモリー、内蔵のハードディスクから可能。Spotifyなどの音楽配信アプリも難なく使える。ただし、残念ながらテレビ(フルセグ)やCD/DVDは非搭載で、高価なディーラーオプションとして用意されている。
上部にある2つのボタンは、左がハザード、右が衝突回避・被害軽減ブレーキ。なお、衝突回避・被害軽減ブレーキは、クロスオーバーではすべてのグレードで標準装備されている。下部にある1~6のボタンは、任意で設定した各種機能を一発で呼びだすことができるショートカット。
ナビやインフォテイメントシステムの操作は、MINIコントローラーというダイアルプッシュ式のボタンでも可能。MINIはBMWが開発しているため、基本的な操作方法はBMWのシステムと変わらない。円形のコントローラーを右へ左へとクルクルと回し、押し込んで決定する。ナビやラジオをダイレクトに呼び出すボタンも付いているため、ほとんどの操作がこれで不自由しない。丸い天板はタッチ入力に対応していて、指でなぞると文字の入力が可能だ(筆者はほとんど使わないが)。はじめは使いにくいが、なれればそれなりに素早い操作が可能になる。ナビの画面を汚したくない方は、こちらのコントローラーを使う頻度が高くなるだろう。
その左側には、電気式パーキングブレーキのスイッチ。なお同世代のMINIで電気代を採用しているモデルは、MINIクロスオーバーとMINIクラブマンのみ。MINIハッチバックやMINIコンバーチブルは従来のレバーを引き上げるタイプになる。
評価の高い8速ATのシフトレバー根元には、筆者イチオシの「MINIドライビングモード」のスイッチ。左右に少し回転させる仕組みを採用していて、それを切り換える動作そのものが、ちょっと楽しい。
2018年春からApple CarPlay(オプション)にも対応。iPhoneを接続すると、マップや音楽などの基本的なアプリをナビの画面で使うことができる。iPhoneで管理しているお気に入りの音楽や、最新のデータが反映されたマップをナビとして活用することが可能になる。ハマる人ハマるというレベルのもので、誰にでも必須とは言えないが、最新モデルならではの新しいカーライフが体験できる。
クラシカルで愛らしいスピードメーター
スピードメーターはバイクの計器のような丸いカタチ。左には半円のタコメーター、右には燃料計を備えてギュッとまとまっている。丸いスピードメーターとセンターサークル、そしてステアリング中央の丸いクロームメッキのリング、この3点がダッシュボードデザインの要となって独特な世界を演出している。飛行機のコックピットに座っているようなワクワク感は、すべてのMINIに共通する魅力といっていい。
写真のステアリングは、パドルシフトが付いたジョンクーパーワークスステアリング。赤いステッチがアクセントで、グリップにはパンチング加工が施されている。たしかに手に馴染む感じもスポーティだ。マルチファンクションスイッチ(全グレードで標準)が付いていて、左側のスイッチでクルーズコントロールのオンオフや速度調整、右のスイッチでオーディオ関連やハンズフリーテレフォンの操作ができる。スイッチ(ボタン)はすべて円形に統一されていて、ダッシュボード全体のデザインに調和している。
ステアリング前方にはオプションのヘッドアップディスプレイ(HUD)。ナビやオーディオ関連の情報を、視線を前方においたまま確認することができる。使わない時は、自動で収納することが可能。見た目がカッコイイだけではなく、万が一のときに身を守ってくれる重要な安全装備だ。ナビの画面に目をやってヒヤリとした経験がある方には特にお勧めしておきたい。
夜のドライブが楽しくなるイルミネーション
オプションのMINI Yoursインテリアスタイル イルミネーテッドを装着すれば、コックピットがイルミネーションで華やかにライトアップされる。インテリアトリムに埋め込まれたLEDがミステリアスな光を放ち、特別な空間を演出する。かなり大胆な演出だが、MINIブランドの「ほかとは違う」という基本スタンスを如実に表した装備といえる。その日その時の気分で発光カラーをチェンジすれば、夜のドライブが新鮮に生まれ変る。賛否あると思うが、筆者としてはアリだ。
サンルーフで空間をアップグレード
電動パノラマガラスサンルーフもオプションで用意。フロント側のガラスは電動チルト&スライド式で、リア側のガラスは固定となる。もちろんロール式のシェードが付いているから、真夏でも大丈夫。クロスオーバーは頭上スペースが広いため、サンルーフを付けると開放感はさらに大きくなる。
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ブリティッシュデザインのレザーシート
ヘッドレストの裏にユニオンジャック
オプションで用意されているレザーシートは、ブリティッシュなデザインで室内空間を一段とオシャレに彩る。写真のレザーシートは、MINI Yoursレザーラウンジ カーボンブラック。ちなみに「MINI Yours(ミニユアーズ)」とは、高品質なデザインと素材が魅力のオプションブランドで、MINI発祥の国であるイギリスのユニオンジャックがデザインに取り入れられている。MINI Yoursレザーシートのヘッドレスト裏にはユニオンジャックが縫い付けられていて、後部座席からも普通のクルマでは有り得ない遊び心を楽しむことができる。
シートの形状はスポーツタイプ(クーパーSとクーパーSD、ジョンクーパーワークスは標準装備)になっていて、張り出した両側のサイドサポートがカラダをしっかりと支えてくれる。座面の先端は延長できるため、長時間のドライブで疲れた時などに引き出せば、足回りの疲労軽減に役立つ。
写真のレザーシートは、レザーチェスターブリティッシュオーク。オシャレなカフェをイメージさせるクラシカルな色味が魅力で、落ち着いたダーク系のボディカラーに合わせれば、クロスオーバー全体のプレミアム感がグッとあがる。心地良い室内空間が、さらに快適に感じるはずだ。
クロスオーバーに乗るならば、これらの魅力的なレザーシートは是非とも選びたい。ただし、20~30万円の高額オプションとなるため、実際には悩ましいところだ。
写真のスポーティなシートは、MINIクロスオーバーで最も速いハイパフォーマンスグレード「ジョンクーパーワークス」に標準装備されているダイナミカレザーコンビネーション(JCWスポーツシート)。ブラック&レッドの配色がホットな走りをイメージさせる。筆者はMINIハッチバック3ドアの「ジョンクーパーワークス」で実際に座ってみたが、ダイナミカ(スエード調)のしっとりとした肌触りに心地よさとレーシーな特別感を十分にあじわえた。
大人でも十分な広さをもつ後部座席
MINIで唯一、前後スライドに対応
MINIクロスオーバーはファミリーユースに対応できるため、他社のコンパクトSUVや国産のミニバンから乗り換えを検討される方が多い。その時、もっとも気になるのは後部座席の広さだろう。
写真からも分かる通り、後部座席は十分なスペースが確保されている。足元は先代のMINIクロスオーバー(R60)より約5cm拡大され、ドアの開口部も現行MINIでもっとも広く、誰でも乗降りがしやすい。ボディがひと回り小さいMINI5ドア(F55)と比べると、その差は歴然だ。
クロスオーバーより少し小さいMINIクラブマン(F54)と比べても、室内幅はそれほど変わらないものの、SUVのスタイルからくる広い頭上空間のおかげで、快適性はワンランク高い。MINIはそのネーミングとこれまでの歴史から、コンパクトで窮屈なクルマという印象をもっている方も多いと思う。しかし、MINIクロスオーバーならば大人4人でも出掛けたくなるほど、十分な居住性が確保されている。
後部座席は前後にスライド(最大13センチ)できるため、荷物を沢山積むときは前につめて、普段は後ろ寄りにして広々使うといったフレキシブルな活用ができる。「スライド機能なんて、あって当然では?」という声が聞こえなくもないが、後部座席のスライドができるMINIは、このクロスオーバーだけで他のモデルはできない。クロスオーバーとクラブマンをファミリーユース前提で検討した場合に、この違いは大きい。
ただし、MINI初のプラグインハイブリッドであるクロスオーバー クーパーSEは、モーター駆動用に搭載しているバッテリーの関係でスライドができないので注意。
このほか、後部座席用のエアコン吹き出し口や電源も備わっているため、夏も冬も快適でスマートフォンの充電もOKだ。なお、最新モデル(2019年現在)の電源は、シガーソケットから「USB Type-C」ポート(2口)に変更されている。
荷室の広さも実用性十分
二段式の床、フルフラットも可能
荷室容量は450Lで現行MINIの中で最大サイズをほこる。MINIクロスオーバーのライバルになる他社のSUVと比べると、メルセデスベンツGLAクラスより少し大きく、アウディQ3とほぼ同じで、BMW X1やレクサスNX、マツダCX-5よりやや狭い。つまり、コンパクトSUVクラスにおいては平均的な広さを確保している。趣味性の強いMINIということを差し引くと、十分以上の広さだ。本格的なキャンプセットは厳しいが、普段の買い物や折り畳み自転車ていどならラクラク詰め込める。
荷室の床は二段式になっていて、背の高い箱やキャリーバッグなどを積むときは床をあげて、普段は閉じておくといった使い分けができる。筆者のMINI3ドアにも同様の機能(オプション)が付いているが、床下には普段は使わないが絶対に載せておきたいジャンプスターターや掃除用品などを収納している。床を閉じで分割可倒式の背もたれを倒せばフルフラットにすることも可能。これでゴルフバッグなどの長尺物もOKだ。
バックドアは自動でオープン
流行りの機能もちゃんと用意されている。車体の下に足をいれるとセンサーが反応してバックドアが自動でオープンする。動き出すまで少し待たされるが、両手がふさがっている時には非常に便利だ。廉価モデルのMINIクロスオーバー ワン以外には標準装備(オートマチックテールゲートオペレーション)されている。
まとめ
センスの良いオトナの魅力あふれる内装デザイン
MINIクロスオーバーの内装は、MINIの遊び心を揺さぶるキャラクターを内包しつつ、プレミアムなテイストでうまくまとめ上げられている。SUVのアクティブな側面もありながら、大きく外さない落ち着いたオトナの雰囲気が魅力だ。センターサークルのLEDリングやナイトドライブのイルミネーションで童心に帰り、デザインセンスの良いレザーシートを愛でる。普通車レベルの実用性がありながらも、好きで乗っているというコダワリを表現できるのがMINIクロスオーバーだ。他社のSUVを見て気持ちが動かなかった方は、このクルマの世界観を試してみてはいかがだろうか。
MINIクロスオーバーの最新情報
2020年秋にマイナーチェンジ!
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