MINI初のプラグイン・ハイブリッド「クロスオーバー クーパーS E」登場!

ミニクロスオーバー F60 クーパーSE ALL4 プラグインハイブリッド

2017年2月末にフルモデルチェンジをはたしたミニクロスオーバーに、MINIブランド初のプラグインハイブリッドとなる「クーパーS E ALL4」が登場。

プラグインハイブリッド(PHEV)は、外部電源からのバッテリー充電にも対応したハイブリッドカー。大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載することにより、電力のみを使った純粋なEV走行を得意とする。

ベースモデルの「ミニクロスオーバー(F60)」は、MINIのラインナップで最大のボディをもつプレミアム・コンパクトSUV。MINIのアイデンティティを継承しながらも、広い車内と十分な容量の荷室をもつオールラウンダーとして、これまで「MINI」に接点のなかったユーザー層からも注目のモデルとなっている。現行は2代目となりサイズと共にプレミアム感も大幅に向上した。クリーンディーゼルエンジンを搭載したモデルを中心に、ハイパフォーマンスのガソリンエンジンモデルも設定されている。

プラグインハイブリッド「クーパーS E ALL4」の車両価格は、LEDヘッドライトや純正ナビ、自動ブレーキなどを標準装備して「479万円(8%税込)」。最新のハイブリッドシステムを搭載しながらも、ディーゼルの「クーパーSD ALL4」より14万円安という魅力的な価格設定となる。

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プラグインハイブリッド(PHEV)とは?

ミニクロスオーバー プラグインハイブリッド クーパーS E ALL4 ブラックルーフ

電気だけでも一定の距離を走れるハイブリッドカー

プラグインハイブリッド(PHEV)は、ハイブリッドカー(HEV)に大容量の駆動用バッテリーを搭載して、電力とモーターだけを使うEV走行を可能にした新世代のエコカー。プリウスなどのハイブリッドもEV走行は行えるが、その距離は「数百メートルから1km」程度で、利用できる場面は非常に限られている。しかし、プラグインハイブリッドは大容量のバッテリーによって「数十km」の走行が可能となっているため、普段の通勤や買い物などで電気自動車として利用することができる。

短距離ドライブはガソリンを一滴も使わないEV走行、休日のロングドライブは「エンジン+モーター」のハイブリッド走行というように、状況に応じてハイブリッドと電気自動車のメリットを使い分けることができる。例えば、完全な電気自動車だとバッテリーの状況によってはロングドライブが厳しかったり、暖房をかけると極端に走行距離が減ってしまうなどの弱点をもつが、プラグインハイブリッドならば「行けるところまでEV走行して、バッテリーを使い切ったらエンジンを始動させて充電しながら走行を続ける。バッテリーが十分に充電されたらEV走行に戻す。」といったことが可能だ。

ミニクロスオーバー プラグインハイブリッド クーパーS E ALL4 リア

自宅で充電すれば「ほぼ電気自動車」として使える

バッテリーの充電は、自宅に設置した200VのEV用充電器や、ショッピングモールや駐車場などの充電スポットで行うことができる。もちろん、前例のようにエンジン走行中に充電も可能だが、プラグインハイブリッドをエコなEVとしてフル活用するためには「自宅充電が必須」というのが現状だ。

なお、マンションなどの集合住宅や賃貸の駐車場に充電器を設置するには、管理組合やオーナーの承諾が必要となるため、状況によっては非常にハードルが高い。そのため、基本的には戸建住宅の方がメインターゲットとなる。

自宅充電設備の設置費用は、「MINI eインストレーション」サービスを利用すると、現地調査や工事費を含めて「約13~15万円」。ちょうど1台分のカーポートと同じくらいの設置費用になる。これからプラグインハイブリッドや電気自動車が主流になっていくことは確実だから、その初期コストとしては惜しくない。独自でリーズナブルな専門業者を選定して直接依頼すれば、もう少し節約も可能だろう。

なお、MINIは2019年頃に電気自動車「MINI EV(仮称)」の発売を予定している。とはいえ、充電事情を考えると、当面はガソリンでも走れるプラグインハイブリッドのほうが選びやすはずだ。

プラグインハイブリッドの主なデメリットは、「エンジン+モーター」に加えて大容量のバッテリーを積む必要があるため、荷室などのスペースが少し小さくなることや、バッテリーの重さによる車両重量アップで、クルマを軽快に操る楽しさが若干影をひそめる点があげられる。

まとめると、プラグインハイブリッドは「ハイブリッドカー」に「短距離向けの電気自動車」がプラスされていて、自宅に充電設備があれば、普段使いでは「ほぼ電気自動車として使うことができる車」といえる。

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BMWの新世代ハイブリッド・システムを搭載!

ミニクロスオーバー プラグインハイブリッド クーパーS E ALL4 走行シーン

前輪エンジン&後輪モーターの4輪駆動

MINIクロスオーバー「クーパー S E ALL4」は、BMWの新世代ハイブリッド・システムを搭載しており、フロントに前輪を駆動するガソリンエンジン、リアに後輪を駆動する電気モーターを備えたユニークな駆動システムに、アイシンAW製の6速ATが与えられている。走行状況や駆動用バッテリーの充電状況に応じで、エンジンとモーターが組み合わされ、高効率で快適、そしてクリーンな「新世代のドライビングフィール」を楽しむことができる。

駆動方式はドライブモードによって切り換えることが可能で「エンジンだけを使えば前輪駆動(FF)」、「モーターだけのEV走行は後輪駆動」、そして標準のハイブリッド「エンジンとモーター」で走れば「走行状況に応じて4輪駆動(4WD)」となる。本来の目的は、バッテリーの充電状況に応じて切り換えるための機能だが、「3つの駆動方式」の違いを楽しめることは、クルマ好きにとって当モデルを選ぶ理由の1つになるくらい面白い。

ミニクロスオーバー プラグインハイブリッド クーパーS E ALL4 メカニズム

フロントの1.5リッター3気筒のガソリンターボエンジンは「最高出力136馬力(100kw)、最大トルク220Nm」、リアの電気モーターは「最高出力88馬力(65kw)、最大トルク165Nm」を発揮。この2つを合わせたシステムトータル最高出力は「224馬力」で、クロスオーバーのハイパフォーマンスモデルに君臨するガソリンターボの「ジョンクーパーワークス」に匹敵するスペックとなっている。

プラグインハイブリッドは後部座席の下に積んだバッテリーで車両重量が140キロ増えているため、ジョンクーパーワークスに比べてしまうと絶対的な運動性能は高くはないが、ハイブリッドだからエコでマイルドな走りしかできないという先入観を持って試乗すると、目の覚めるような嬉しい驚きが待っている。

ゼロから100km/hまでの加速タイムは6.8秒で、従来のSUVカテゴリの車とは異なる次元の「速さ」。なおかつ、モーターのアシストによって、瞬時に太いトルクが発揮されるため、蹴りだしの加速感はそれ以上だろう。ただし、エンジン音や排気音は控え目で、レーシングカーのような「やんちゃ感」はないため、「スポーツ性を秘めた大人向けのクルマ」という表現がマッチする。

ミニクロスオーバー プラグインハイブリッド クーパーS E ALL4 サイドビュー

速いだけではなく、走行中はハイブリッドならではの静かでスムーズなフィーリングを実現。発進はシフトチェンジがいらないモーターが担うため、エンジン車とは比較にならないほど滑らかに走り出す。ストップ&ゴーの多い街乗りでも、立ち上がりのストレスを感じさせないため、都市部での相性はバツグンに良い。

クロスオーバーは、プラグインハイブリッドモデルを除くと、クリーンディーゼルモデルが主役となるが、この「静かでスムーズなドライビングフィール」は、ディーゼルと比較した場合に、かなり大きなアドバンテージとなる。もちろん、ディーゼルモデルに不足はないが、ハイブリッド特有の気持ちよさは一段と鮮明に映るだろう。

電力&モーターだけを使うEV走行距離は「42.4km」

ミニクロスオーバー プラグインハイブリッド クーパーS E ALL4 充電ポート

約3時間でフル充電、コストは「100円弱」

駆動用の高電圧リチウムイオンバッテリー(容量:7.6kWh)は、自宅に設置した200Vの充電器または公共の充電スタンドを使うと、空の状態から約3時間で満充電が可能。充電ポートは助手席側のサイドスカットルに設置されている。充電ケーブルは車両に標準で付属されていて、長さは約7m。

気になる電気代は、MINI JAPANの試算によると、自宅で夜間に充電した場合、お得なプランで「100円弱」としている。この電力を使ったモーターだけのEV走行に限れば、軽油を使うディーゼルモデルに比べて約半分のコストという。ディーゼルは一定の速度で長距離を走ると燃費が飛躍的に向上するため、平均速度の高い郊外や高速道路においては、ここまでの差は生まれないはずだが、ストップ&ゴーの多い街乗りメインならば、現実的な試算だろう。

充電器を使ったフル充電の状態からEVで走行できる距離は「42.4km」。ただしこれはカタログ値となるため、燃費と同様に走行状況やエアコンの有無、走行ルートの高低差などによって走行距離は短くなる。もう少し走れたらと思うが、「EVの走行距離=バッテリー容量」となるため、走行距離を重視しすぎると、さらに車重が増えて荷室なども削られてしまう。自宅で充電ができるため1日に走る距離をカバーしていれば十分だ。BMWがいう「日本では約70%の方が一度の走行距離が25キロ程度」というデータに基づくと、絶妙なラインだろう。ちなみに、三菱アウトランダーPHEVは「約60km」、プリウスPHV「約68km」となっている。

まとめると、プラグインハイブリッドを電気自動車として有効活用できるケースは、「戸建住宅で毎日の通勤が片道15km程度」の方が、自宅に充電器を設置して夜間に充電を行い、通勤はEV走行のみに徹するという使い方になる。休日はEVの走行距離など気にせず、ハイブリッド走行でどこへでもロングドライブに出かける。このうような運用が出来ればベストだろう。もちろん、経済性だけではなく、ハイブリッドの静かでスムーズな走行性がそこに楽しさもプラスしてくれる。

ハイブリッド燃費は「17.3km/L」

ミニクロスオーバー プラグインハイブリッド クーパーS E ALL4 リア

JC08モードのハイブリッド燃料消費率は「ハイオクで17.3km/L」、ディーゼルのクーパーSD ALL4が「軽油で20.8km/L」と優秀なため、ハイブリッドの燃費(経済性)としては物足りなさも感じるが、224馬力のトータル出力やEVの走行距離を加味すれば、決定的なウイークポイントにはならない。自宅充電をうまく使えば、実際はカタログが示す燃費よりも低コストで運用できる可能性も高い。

メーカー発表のハイブリッド航続距離は「約500km(欧州仕様車値)」で、単純に満タン時の燃料(36L)で割ると、燃費は「約14km/L」。これは海外メディアなどのインプレッションで報告されている実際の燃費と近い。ディーゼルの街乗り実燃費もそれに近いが、同じ燃費ならば軽油を使うディーゼルの方が経済性は優れる。ただし、一般的にハイブリッドは街乗りの燃費に優れていて、ディーゼルは高速道の燃費が優れている。そこにEV走行分を織り交ぜると、ハイブリッドとディーゼルのどちらの経済性が優れるかはオーナーの使い方次第となる。

急速充電には非対応

なお、BMWのプラグインハイブリッドは急速充電には対応していないため「充電スタンドにちょっと寄り道して充電完了!」という電気自動車のような使い方はできない。例えば、BMWの電気自動車「BMW i3」ならば、急速充電器を使用すると45分で充電ができる。

三菱アウトランダーPHEVやプリウスPHVは急速充電に対応しているが、充電スタンドが混雑しているときは、電力でしか走ることができない電気自動車を優先せざるをえないのが現状だ。もちろん、急いでいるときには「急速充電に対応していればいいのに」と思う場面もあるかもしれないが、ガソリンで走れるプラグインハイブリッドにとっては、実際にそれほどの問題にはならない。自力でも充電ができるため、充電ケーブルを充電器から助手席側までひっぱりだして接続することが面倒と感じるかもしれない。

※BMWだけではなく、アウディやフォルクスワーゲンなどの輸入車PHEVは、急速充電に非対応。

気になるバッテリーの劣化保証

すでにリチウムイオンバッテリーを使ったクルマにお乗りの方は痛感していると思うが、バッテリーは経年劣化でその性能が落ちてくる。つまりEVで走行できる距離が徐々に減っていく。そこで気になるのがバッテリー劣化に対するメーカー保証だ。

MINIでは「新車登録から6年、または走行距離10万km」までに、バッテリーの性能が著しく低下して交換が必要になった場合に補償する制度を設けている。実際には、この程度の使用で大幅に性能が劣化することは少ないと考えられるが、電動のクルマを購入するうえでは見逃せない重要なポイントだ。

逆に、新車登録から6年経過した中古車を購入して長距期間乗りたい場合は、バッテリーが最悪交換になった場合に、どれくらいの費用が必要になるのかを事前にディーラーで確認しておきたい。

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様々な状況に対応する3つの走行モード

ミニクロスオーバー プラグインハイブリッド クーパーS E ALL4 eドライブモード

「4輪駆動、後輪駆動、前輪駆動」を切り換え

走行状況やバッテリーの充電量に応じて「3つのeDriveモード」を切り換えることができる。デフォルトは「エンジン&モーター」のハイブリッドモードとなるが、モーターのみを使用してEV走行を行う「MAX eDrive」や、バッテリーの残量が少なくなったときに使う「Save Battery」が用意されている。EV走行中でも、アクセルをグッと踏み込めばエンジンがかかって自動的にハイブリッドモードへ切り換わる。

このほかにも、人気のメーカーオプション「MINIドライビングモード」も標準装備となっているため、実際にはこれらに加えてさらに「スポーツモード」と「グリーンモード」が選択できる。

AUTO eDrive 四輪駆動:標準のハイブリッドモード。ガソリンエンジンと電気モーターを走行状況やバッテリーの充電状態に応じて効率的に組み合わせる。前輪がエンジン、後輪がモーターの四輪駆動となる。70km/h以上の速度、または加速時や上り坂など最大トルク250Nm以上の出力が必要となると、自動的にエンジンが始動する。
MAX eDrive 後輪駆動:電気モーターのみを使用した純粋なEV走行(最高速度は125km/h)。強い加速が必要な場面でアクセルをグッと踏み込むとエンジンが始動してスムーズに「AUTO eDRIVE」モードに切り換わる。
Save Battery 前輪駆動:バッテリーをセーブしてガソリンエンジンのみで走行。ブレーキ回生システムによってバッテリーを最大90%ま充電可能。

内外装は、イエローアイコンで差別化

ミニクロスオーバー プラグインハイブリッド クーパーS E ALL4 フロント

ミニクロスオーバー プラグインハイブリッド クーパーS E ALL4 外装の違い

ミニクロスオーバー プラグインハイブリッド クーパーS E ALL4 インテリア

エクステリアとインテリアのデザインは、標準装備のホイールを除いてディーゼルの「クーパーSD ALL4」と同じだが、コンセントをイメージした充電ポートをはじめ、太陽をイメージしたというイエローアイコンが随所に加わっている。フロントグリルの「S」エンブレムはレッドからイエローに、センターコンソールのエンジンスタートストップスイッチも同様にイエロー化されている。選択できるボディカラーも通常モデルと同じため、ひとめでプラグインハイブリッドと分かる大きな違いはない。

試乗インプレッション動画

基本スペックと標準装備、価格

ミニクロスオーバー プラグインハイブリッド クーパーS E ALL4 フロント

★追記:仕様変更でEV走行距離がアップ

2019年9月の仕様変更(詳細)」で、リチウムイオンバッテリーの容量が「7.6kWh」から「10.0kWh」に増えた。それにともない、EVで走行できる距離は「42.4km」から「58.1km」にアップ、フル充電にかかる時間は「約3時間」から「約3.5時間」となった。EV走行をメインに使いたい方は、仕様変更後のモデルがお勧めだ。

仕様変更後の詳細スペックを見る

MINI クロスオーバー(F60)
クーパーS E ALL4
中古車情報
国内発売日 2017年2月23日
(納車は7月以降)
価格(8%税込)
2018年4月現在
498万円
駆動方式 4WD
前輪:エンジン
後輪:モーター
変速機 6AT
エンジン 1.5L 直列3気筒
MINI ツインパワーターボ
最高出力 136PS(100kw) 4400rpm
最大トルク 220Nm 1400-4300rpm
モーター出力/トルク 88PS(65kw) / 165Nm
システム総出力 224PS(165kw)
システム総トルク 385Nm
EV最高速度 125km/h
EV走行距離 42.4km
加速 0-100km/h 6.9秒
電池容量 7.6kWh
充電時間 200V電源 約3時間で満充電
燃費 JC08
ハイブリッド燃料消費率
17.3km/L
燃料 ハイオク
定員 5名
荷室容量 405L(最大1275L)
ボディサイズ(mm) 全長4315 全幅1820 全高1595
主要諸元 詳細

主な標準装備

  • 18インチ アロイ・ホイール
  • アダプティブLEDヘッドライト/LEDデイライト・リング
  • アクティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付)
  • ドライビング・アシスト(前車接近警告機能、衝突回避、被害軽減ブレーキ)
  • 自動防眩ルーム・ミラー
  • マルチファンクション・ステアリング
  • コンフォート・アクセス
  • シート・ヒーター(フロント)
  • MINIドライビング・モード
  • MINIコネクテッド
  • レイン・センサー(自動ドライビング・ライト付)
  • 40:20:40分割可倒式リア・シート・バックレスト
  • 2ゾーン・オートマチック・エア・コンディショナー
  • リア・エア・アウトレット
  • ナビゲーション・システム(詳細)
  • 8.8インチ・ワイド・ディスプレイ
  • オンボード・コンピューター
  • エンジン・オート・スタート/ストップ機能
  • サーボトロニック

その他

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text by minicooper-sketch.com