ホントに低燃費?ミニクーパー ディーゼルの実燃費を徹底検証!

F56 ミニクーパー ディーゼルの実走燃費

MINIは、2014年にフルモデルチェンジした第3世代(F系)から、ほとんどのモデルで、クリーンディーゼルエンジンが選択できるようになりました。第2世代(R系)では、クロスオーバーとペースマンの後期型のみディーゼルが設定されていました。

第3世代MINIのディーゼルは「2016年4月」から国内販売が始まって「燃費の良いMINI」として人気上昇中です。中でも、ボディサイズの大きい「MINIクラブマン」や「MINIクロスオーバー」では、ディーゼルの方がガソリンエンジンよりも売れています。

MINIに興味があるけど、国産のコンパクトカーに比べて燃費が悪いことで二の足を踏んでいた方や、MINIの燃費に不満をもっていた旧型のMINIオーナーにとって、ディーゼルモデルは「燃費の良い待望のMINI」になります。

そこで「MINIのディーゼルは、実際にどれくらい燃費が良いのか?」という疑問に答えるために、実際に走行した燃費を徹底的に検証してみました。MINIのディーゼルを検討している方はもちろんのこと、「燃費の良いオシャレな輸入車」を探している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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Contents

  1. テスト車は「MINI3ドア ミニクーパーSD」
  2. MINI3ドア ミニクーパーSDの実走燃費
  3. 参考:ミニクーパーDの実走燃費
  4. ガソリンエンジンの燃費と比較
  5. まとめ
  6. ディーゼルはどんな人にお勧めか?
  7. テスト車の基本スペックと価格

テスト車は「MINI3ドア ミニクーパーSD」

2.0Lのディーゼルターボ、カタログ燃費は「23.8km/L」

ミニ3ドア F56 ミニクーパーSD  ブリティッシュレーシンググリーン&ブラックルーフ

今回の燃費テストに使用したモデルは、当サイトのデモカー「MINI3ドア ミニクーパーSD」です。2016年4月に発売したモデルになります。2018年5月に「マイナーチェンジ」しましたが、ディーゼルモデルの燃費性能に変更はありませんので、マイナーチェンジ後のモデルを検討している方も参考にしてください。

「ミニクーパーSD」は、BMWグループの2リッター4気筒のディーゼルターボエンジン(170ps/360Nm)を搭載したスポーツグレードです。2リッター4気筒のガソリンターボ(192ps/280Nm)を搭載した「ミニクーパーS」のディーゼル版という位置づけです。オートマチックトランスミッションは両方ともアイシン製の6速ATでしたが、「2018年5月のマイナーチェンジ」で、クーパーSだけ「7速DCT」に変更されました。

ステーションワゴン型の「MINIクラブマン」やSUV型の「MINIクロスオーバー」の「ミニクーパーSD」も、まったく同じディーゼルエンジンを搭載していますが、車格に合わせて最高出力と最大トルクが「190ps/400Nm」に引き上げられています。こちらのトランスミッションは8速ATとなります。

「MINI3ドア ミニクーパーSD」のカタログ燃費(JC08モード)は「23.8km/L(軽油)」です。ガソリンエンジンのミニクーパーSは「17.6km/L(ハイオク)」でしたが、「2018年5月のマイナーチェンジ」で「16.4km/L」にダウンしています(※実燃費は向上しています)。前提として、ミニクーパーSDのカタログ燃費は、ミニクーパーSよりも、「約6~7km/L」優れていることになります。

低燃費の必須装備! MINIドライビングモード

ミニ ドライビングモード スイッチの違い

※ドライビングモードのスイッチは「2017年7月の仕様変更」から写真右のタイプに変更

低燃費の走行に欠かせない装備が、メーカーオプションの「MINIドライビングモード」です。ドライビングモードを装備すると、スポーティな走りが楽しめる「SPORTモード」と、アクセルレスポンスが緩やかなになり、エンジンとトランスミッションを切り離して惰性を利用した走行で燃費を伸ばすことができる「GREENモード」が選択できるようになります。当記事の燃費テストでは、この「GREENモード」を積極的に活用しています。

これからMINIディーラーの在庫車や中古車を購入される方は、「MINIドライビングモード」が付いている車両を選ぶことを強くお勧めします。燃費にやさしい走行ができるのはもちろんのこと、その時の気分によってドライブフィールをチェンジできるので、長距離のドライブでも飽きずに楽しむことができます。ちなみに、付いていない場合は、MINIに詳しい「カスタムショップ」で後付け(4~5万円ほど)することができます。本来は新車をオーダーするときに選択するメーカーオプションですので、基本的にMINIディーラーでは後付けできません。

それでは、ディーゼルの燃費性能はどれほどのモノか? 実際に走行した燃費をケース別に見ていきましょう。なお当テストでは、車載コンピュータに表示された燃費を実走燃費とします

MINI3ドア ミニクーパーSDの実走燃費

1-1. 市街地の燃費 | 交通量:非常に多い

F56 ミニクーパーSD ディーゼル 市街地の実走燃費

走行状況 ドライビングモード:標準/エアコン:オフ/季節:冬/エンジンが冷えた状態から始動

交通量が非常に多い市街地を、約1時間走行した燃費は「11.1km/L」

交通状況は、朝夕の通勤ラッシュをイメージしてください。信号機ごとにストップして、0~40km/hの加速と減速を繰り返す「ノロノロ運転」が多発する状況です。流れが悪くちょっとイライラするレベルです。50~60km/hで走行することは、ほとんど出来ません。これは燃費にとって、もっとも厳しい条件となります。

エアコン(冷房)を作動させると、燃費は10%ほどダウンしますので、夏にこのような渋滞にハマった場合は最悪で「10km/L」前後の燃費になります。

1-2. 市街地の燃費 | 交通量:標準

F56 ミニクーパーSD ディーゼル 市街地の実走燃費

走行状況 ドライビングモード:標準/エアコン:オフ/季節:秋/エンジンが冷えた状態から始動

交通量が標準的な市街地を、約1時間走行した燃費は「15.6km/L」

渋滞がほとんど発生しない日中の市街地です。信号機は2つに1つ止まる程度で、40~50km/hで継続的に走ることができます。交通の流れは朝夕の通勤ラッシュよりスムーズだが、60km/hで巡行できる区間はそれほど多くないという状況です。平均的な市街地(中心部)をイメージしてください。

1-3. 市街地の燃費 | 交通量:少ない

F56 ミニクーパーSD ディーゼル 市街地の実走燃費

走行状況 ドライビングモード:標準/エアコン:オフ/季節:初夏/エンジンが冷えた状態から始動

交通量が少ない市街地を、約1時間15分走行した燃費は「16.8km/L」

交通の流れが良い日中の市街地です。信号機は5つに1つ止まる程度で、50~60km/hで継続的に走ることができます。交通量が比較的少ないため、信号機の手前で早めにアクセルを戻して、燃料を節約することができます。地方都市の平均的な市街地をイメージしてください。

なお、このような状況でドライビングモードの「GREENモード」を使うと「17~18km/L」で走ることができます。

2. 市街地+郊外路の燃費

F56 ミニクーパーSD ディーゼル 郊外路の実走燃費

走行状況 ドライビングモード:GREEN/エアコン:オフ/季節:冬/エンジンが冷えた状態から始動

市街地と郊外路を、約2時間走行した燃費は「23.4km/L」

市街地と郊外路を「GREENモード」で走行しました。市街地の交通量はやや多い状況で、郊外路は流れの良い街道や海岸線、田舎道です。これは、休日に自宅から海や田舎へ遊びに行くときの道程に近いと思います。燃費は郊外路を50~60km/hで巡行していた時に最高で「27.5km/L」まで伸びましたが、そのあとの市街地でストップ&ゴーが多く発生したため、最終的に上記の燃費にダウンしました。

3-1. 一般国道自動車専用道路の燃費 | 速度域:70km/h

F56 ミニクーパーSD ディーゼル 自動車専用道路の実走燃費

走行状況 ドライビングモード:GREEN/エアコン:オフ/季節:初夏/エンジンが冷えた状態から始動

一般国道自動車専用道路を、約1時間10分走行した燃費は「27.7km/L」

一般国道自動車専用道路とは、その名の通り主に自動車だけが走行できる道路です(バイパスなど)。実勢速度が高く信号機もほとんど無いため、高速道路のように高い速度域をキープして走行することができます。テスト日は交通量が少なかったため、70km/h前後をキープして、ほぼノンストップで1時間走り続けることができました。70~80km/hはもっとも燃費が伸びる速度域ですが、それに加えて「GREENモード」のセーリング機能(惰性走行)を積極的に使ったため、燃費を飛躍的に向上させることができました。

3-2. 高速道路の燃費 | 速度域:100km/h

F56 ミニクーパーSD ディーゼル 高速道路の実走燃費

走行状況 ドライビングモード:GREEN/エアコン:オフ/季節:秋/エンジンが冷えた状態から始動

高速道路を、約1時間15分走行した燃費は「23.9km/L」

交通量が少なかったため、100km/hを可能な限りキープしたまま1時間ノンストップで走行することができました。燃費はカタログ燃費「23.8km/L」とほぼ同じ「23~24km/L」で頭打ちという感じでした。クルーズコントロール(車速を一定に保つ)を使っていないことと、やや上り勾配の高速道路でしたので、平坦な高速道路ならばもう少し伸びたかもしれません。ちなみに、100km/h巡航時のエンジン回転数は1900回転(6速ATの場合)ですので、耳障りなエンジン音は無く快適です。

4-1. 長距離ドライブの燃費 | 郊外路&山岳路

F56 ミニクーパーSD ディーゼル 長距離ドライブ 郊外路の実走燃費

走行状況 ドライビングモード:GREEN/エアコン:オン/季節:初夏/エンジンが冷えた状態から始動

郊外路と山岳路をメインに、180km走行した燃費は「23.0km/L」

流れの良い市街地から一般国道自動車専用道路を経由して標高900mの高原まで登り、70kmのワインディングが続く山岳路(山あり谷あり)を下って市街地に戻るというドライブルートです。例えば、市街地の自宅から山奥のゴルフ場やキャンプ場へ出掛ける場合の参考にしてください。

涼しい高原以外ではエアコン(24度設定)をオンにして、全域を「GREENモード」で走りました。上がり勾配の続く道を走行して高原に到着した時点の燃費は「18km/L」。ディーゼルは強力な低速トルクがあるため、エンジンをそれほど回さなくても坂道をグングン登って行きます。そのため、このように長距離の坂道ルートでも優れた燃費を発揮することができます。

4-2. 長距離ドライブの燃費 | 高速道路&郊外路

F56 ミニクーパーSD ディーゼル 長距離ドライブ 高速道路の実走燃費

走行状況 ドライビングモード:GREEN/エアコン:オフ/季節:冬/エンジンが冷えた状態から始動

高速道路と郊外路をメインに、279km走行した燃費は「24.7km/L」

高速道路を100km走行してから、一般道に降りて流れの良い郊外路と一般国道自動車専用道路を計150km、標準的な交通量の市街地を30kmというドライブルートです。例えば、市街地の自宅から高速道路を使って遠方にあるレジャー施設へ出掛ける場合の参考にしてください。

燃費は市街地に入るとダウンしますが、それ以外のほとんどの区間で「23~25km/L」をキープしていました。「GREENモード」は、流れの良い道路を長時間巡行するときに最も効果的です。高速道路を使わずに、燃費に有利な70km/h前後で巡行できる一般国道自動車専用道路をメインに走れば、さらに伸ばすことが可能です。

5-1. SPORTモードの燃費 | 山岳路

F56 ミニクーパーSD ディーゼル 長距離ドライブ 山岳路の実走燃費

走行状況 ドライビングモード:SPORT&Sモード/エアコン:オフ/季節:冬/エンジンが冷えた状態から始動

SPORTモードで山岳路を、約1時間走行した燃費は「20.2km/L」

ミニクーパーSDはスポーツグレードですので、燃費を重視した「GREENモード」ではなく、素早いレスポンスでキビキビ走れる「SPORTモード」でドライブしたい日もあります。そこで、スポーティなドライブモードで山岳路(ワインディング)を走行したら、どれほどの燃費になるのかテストしてみました。

選択したドライブモードは「SPORTモード」と「スポーツプログラムモード(以下、Sモード)」の組み合わせです。Sモードとは、全モデルに標準機能として備わっているエンジン高回転モードで、シフトレバーを左に倒すと作動します。おおよそ300~500回転多く回るシフトプログラムになります。Sモードの状態で、ドライビングモードの「SPORTモード」を選ぶと、もっともスポーティなフィーリングを楽しめるモードになります。そしてこれは、燃費に一番厳しいモードです。

ルートは、アップダウンが適度に楽しめる流れの速い50kmの山岳路です。燃費をまったく意識しないで、積極的にアクセルを踏み込んで、気持ちの良い加速を楽しむことを意識して走りました。強力な低速トルクのおかげで、コーナーの立ち上がりや急な坂でも体がシートに押さえつけられる加速が楽しめます。その代償として燃費の大幅ダウンを予想していましたが「20km/L」オーバーという予想外の好結果でした。ディーゼルターボの走りの力強さに対するコストパフォーマンスは、目を見張るものがあります。

参考:これまでの最高燃費

F56 ミニクーパーSD ディーゼル 長距離ドライブ グリーンモードの実走燃費

走行状況 ドライビングモード:GREEN/エアコン:オフ/季節:夏/エンジンが冷えた状態から始動

これまでに記録した最高燃費は「28.9km/L」

「GREENモード」で、70~80km/hで流れている一般国道自動車専用道路をノンストップで1時間走行したときに、最高燃費を記録することができました。この時は、燃料を節約する運転を徹底し、なおかつ交通量が少なかったため、セーリング機能(惰性走行)をフル活用できたのが要因です。アクセルの踏み込みは必要最小限、加速は流れに合わせて緩やかに、安全が確保される範囲で可能な限りブレーキは踏まず、暑くてもエアコンを使わないという「燃費のためだけの運転」です。

運転が楽しいMINIで、このように退屈な走りをしては本末転倒ですので、あくまで燃費性能の限界を試したレアケースとして受け取ってください。

走行距離「10,000km」の平均燃費

F56 ミニクーパーSD ディーゼル 1万キロの平均燃費

新車から約10,000km走行した時点の平均燃費は「16.3km/L」

10,000kmの内訳は、おおよそ70%が市街地/郊外路、残りの30%が山岳路/一般国道自動車専用道路/高速道路です。ドライブモードは、2回に1回は燃費に厳しい「Sモード」や「マニュアルモード」を使用していますので、燃費にやさしい「GREENモード」を積極的に使って、穏やかな運転を心がけていれば「17~18km/L」は可能です。ただし、交通量の多い市街地で、30分以内のチョイ乗りを繰り返すような利用形態の場合には、「GREENモード」を使っていてもこれより悪い燃費になる可能性があります。

参考:ミニクーパーDの実走燃費

ミニクーパーSDよりもさらに低燃費!

ミニ3ドア F56 LCI ミニクーパーD エレクトリックブルー

ミニ3ドア F56 LCI ミニクーパーDの燃費

ミニクーパーSDのひとつ下のグレードにあたる「ミニクーパーD」の実走燃費を参考までに紹介します。

ミニクーパーDは、1.5リッター3気筒のディーゼルターボエンジ(116ps/270Nm)を搭載した標準的なグレードです。エンジン性能は抑えられていますが、トルクはガソリンエンジンのミニクーパーSと同じくらいありますので思いのほか力強い走りが楽しめます。そのちょうど良いバランスから、MINI5ドアでは人気モデルとなっています。

カタログ燃費は、MINI3ドアのミニクーパーSDが「23.8km/L」、ミニクーパーDが「23.9km/L」ですので、ほぼ同じです。ところが実際に走らせてみると、ミニクーパーDの方が10%ほど低燃費でした。平均速度が26km/hの交通量の多い市街地で「17.3km/L」でしたので、これはかなり優秀です。同じ条件でミニクーパーSDを走らせると、おおよそ「15~16km/L」になると思います。流れが良い市街地ならば「20km/L」に届きそうです。

ただし、ミニクーパーDは3気筒エンジンですので、ミニクーパーSDよりも全体的にエンジン振動が目立ちます。とくにアイドリングストップ中に足元から伝わる振動が気になりました。その点が許容できる範囲ならば、燃費派の方にはベストなモデルでしょう。

※MINIクラブマンとMINIクロスオーバーのミニクーパーDは、ミニクーパーSDと同じ2.0リッター4気筒のディーゼルエンジンを搭載していますので、振動はそれほど気になりません。

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ガソリンエンジンの燃費と比較

比較対象は「MINI5ドア ミニクーパーS」

試乗車のミニ5ドア クーパーS セブン F55 ドアオープン

「ミニクーパーS」は、2.0Lのガソリンターボエンジン(192ps/280Nm)を搭載した人気のスポーツグレード。「SPORTモード」で高回転まで回せば、ディーゼルにはないスポーティな排気音を楽しめます。

ディーゼルはガソリンより「5~7km/L」の低燃費

1. 市街地の燃費を比較

ミニクーパーSとクーパーSDの燃費比較 郊外

左:クーパーS 右:クーパーSD

2. 郊外路の燃費を比較

ミニクーパーSとクーパーSDの燃費比較 市街地

左:クーパーS 右:クーパーSD

ディーゼルの燃費は、ガソリンエンジンに比べて実際にどれほど優れているのかを明らかにするため、比較テストを行いました。詳しくはこちらの記事「MINI 5ドア ミニクーパーSの試乗レポート/評価」で紹介していますので、当記事では簡単にまとめます。

2.0Lのガソリンエンジン「MINI5ドア ミニクーパーS(2017年式/6AT)」と2.0Lのディーゼル「MINI3ドア ミニクーパーSD(2016年式/6AT)」を可能な限り同じ条件で走らせて、その燃費を比較しました。

ミニクーパーSDのほうが、おおよそ「5~7km/L」の低燃費であることが分かりました。これは、カタログ燃費の差とほぼ同じです。

燃料満タン時(44L)の走行距離に換算すると、ミニクーパーSDはミニクーパーSよりも「220~308km」多く走ることができます。ざっくり勘定ですが「東京駅から静岡県浜松市が約250km」「大阪駅から広島市が約330km」です。こうやってリアルな距離でイメージすると、なかなか大きな差です。

なお「ミニクーパーS」は「2018年5月のマイナーチェンジ」でトランスミッションが6速ATから7速DCTに変更されました。カタログ燃費はダウンしましたが、実際の燃費は少し向上しています。

ディーゼルの燃料代は「1万km走ると5万5千円」お得!

ミニクーパーの燃料 ハイオクとディーゼル

左:クーパーSはハイオク 右:クーパーSDは軽油

  実燃費 燃料 1万km分の燃料費 給油回数
MINI5ドア
クーパーS
12km/L ハイオク
148円
123,284円 18.9回
MINI3ドア
クーパーSD
17km/L 軽油
115円
67,620円 13.3回

ディーゼルの燃料は安価な軽油を使用しますので、ハイオクを使うガソリンエンジンに比べると、低燃費との相乗効果で燃料代が安くすむというメリットがあります。

前項でテストした燃費を参考に、ミニクーパーSの平均燃費を「12km/L」、ミニクーパーSDの平均燃費を「17km/L」とした場合、燃料代は「10,000km」走るとミニクーパーSDのほうが「約5万5,000円」安くなります。「40,000km」走ると「22万円」の差です。

新車価格はディーゼルがガソリンエンジンよりも約20万円高くなりますが、年に10,000km走行する方は、4年でもとがとれてしまいます。例えば、ミニクーパーSDの中古車価格が、ミニクーパーSより10万円高かったとしても「20,000km」走れは、燃料代の差額で取り戻すことができます。

さらに、燃費が良いと1度の給油で走行できる距離が長いので、ガソリンスタンドに行く頻度が少なくなります。給油するために要する手間や時間的損失を考えると「燃料代の差額+α」の価値があります。これは実際にディーゼルを長期間所有してみなければ体感できない絶大なメリットです。

例えば、休日に遠方へロングドライブするとき、ディーゼルならば燃料の残りが半分以下でも十分です。燃料を気にせずに出掛けて帰ってこれます。しかし、ガソリエンジンの場合は「ちょっと少ないから、給油してから行こう」という心理が働いて、必然的に給油回数が多くなってしまいます。つまり、燃費から算出した給油回数よりも、実際の給油回数の差は大きくなります。

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まとめ

国産コンパクトカー並みの燃費、高速道ならハイブリッド級

ミニ3ドア F56 ミニクーパーSD ブリティッシュレーシンググリーン&ブラックルーフ

ディーゼルの実走燃費を様々なケースで検証してみました。今回の結果に私のこれまでの経験を加味して、ケース別にまとめると燃費は次のようになります。

MINI3ドア ミニクーパーSD(F56)の燃費

  • 市街地の燃費は「15~17km/L」
  • 交通量が多い市街地の燃費は「11~14km/L」
  • 郊外路の燃費は「18~24km/L」
  • 山岳路の燃費は「16~21km/L」
  • 一般国道自動車専用道路の燃費は「23~27km/L」
  • 高速道路の燃費は「21~24km/L」

各ケースで最も悪い燃費は、エンジンが冷えた状態から30分ほどのチョイ乗りでエアコンを使用した場合を想定しています。最も良い燃費は、1時間以上のドライブでエアコンを使用しない、かつ「GREENモード」の場合です。

市街地の燃費は、国産のコンパクトカー(ガソリンエンジン)と同等か、やや上回るレベルを達成しています。郊外路や山岳路の燃費は、明らかに勝っています。「マツダ デミオXD」の1.5Lディーゼル(105ps/250Nm)には及びませんが、ミニクーパーSDは2.0Lディーゼル(170ps/360Nm)ですので、動力性能の差を考慮すれば健闘していると言えるでしょう。

驚くことに、巡航速度が高い一般国道自動車専用道路や高速道路の燃費は、国産のハイブリッドカー級です。ハイブリッドは発進時にモーターでアシストして燃料を節約するため、ストップ&ゴー多い市街地で強みがあります。いっぽう、ディーゼルはエンジンそのものの効率が良いため、エンジンを回し続けて長距離を走るケースで強みを発揮するためです。陸上選手で例えると、ディーゼルはマラソンランナーといえます。

例えば、国産トップクラスの燃費性能をもつ「ホンダ フィット ハイブリッド(2017年式)」の実燃費は、郊外路や高速道路で「25~26km/L」ですので、ミニクーパーSDはそれに迫る燃費性能ということになります。さらに、ハイブリッドカーの燃料は軽油より15%ほど高いレギュラーガソリンですので、燃料代ベースで評価すればトップクラスのハイブリッドカーと同レベルといえます。

高速道路「1,000km」分の燃料代

  カタログ燃費
JC08
実燃費
高速道路
燃料 1千km分の
燃料費
MINI3ドア
クーパーSD
2016年式
23.8km/L 24km/L 軽油
115円
4,792円
ホンダ フィット
ハイブリッド F
2017年式
33.6km/L 26km/L レギュラー
138円
5,308円
MINI3ドア
クーパーS
2016年式
17.6km/L 18km/L ハイオク
148円
8,222円

高速道路の実燃費が、ミニクーパーSD「24km/L」、フィット ハイブリッド「26km/L」の場合、1,000km走行するために必要な燃料代は、軽油のミニクーパーSDが「4,792円」、レギュラーガソリンのフィット ハイブリッド「5,308円」です。ミニクーパーSDの方が約500円安いという結果に。

自動車誌が実施した国産コンパクトカー(各社ガソリン&ハイブリッド)の燃費テストの結果と比べても、市街地以外ではミニクーパーSDの方が優勢です。もちろん、テストの諸条件が異なりますので正確な比較ではありませんが、高速で巡行する長距離ドライブでは「ハイブリッド級の燃費&燃料代」といって差し支えないでしょう。

ただし、当燃費テストはMINIでもっともコンパクトで軽量な「MINI3ドア」の「ミニクーパーSD(2016年発売)」を使用していますので、これよりひとまわり大きい「MINIクラブマン ミニクーパーSD(2016年発売)」や「MINIクロスオーバー ミニクーパーSD(2017年発売)」の場合は、おおよそ「10~15%」ダウンした燃費になることを認識しておいてください。

ディーゼルはどんな人にお勧めか?

ミニ3ドア F56 ミニクーパーSD ブリティッシュレーシンググリーン&ブラックルーフ

MINIのディーゼルは「輸入車はオシャレだけど燃費が悪い」というこれまでの常識をひっくり返すポテンシャルを秘めています。

しかし、交通量の多い市街地でチョイ乗りが多く、年間の走行距離も少ない方には、ディーゼルはお勧めできません。低燃費のメリットよりもデメリットの方が上回るからです。ここでは詳しく触れませんが、ディーゼルは「ガラガラ」という大きなアイドリングオンや、エンジンが低回転の時にステアリングから振動が伝わってくるなど、ガソリンエンジンには無いデメリットがあります。この欠点が気になるかどうかは、人それぞれですので、必ず試乗で体感してください。

ガソリエンジンはスポーティ!

ガソリエンジンは、高回転まで伸びる気持ちの良い加速やスポーティな排気音(爆音ではない)を楽しむことができます。スポーツカーへの憧れがある方や、レーシングドライバー気分を味わいたい方にはガソリエンジンのミニクーパーSがお勧めです。さらに刺激的な走りやサウンドを楽しみたい方はミニクーパーSをベースにしたハイパフォーマンスモデル「ジョンクーパーワークス」を検討してください。ディーゼルはスポーツマフラーに交換してもスポーティな排気音を楽しむことができません。

いっぽう、比較的流れのよい市街地や郊外路をメインに乗って、休日は一般国道自動車専用道路や高速道路を使って長距離ドライブする方や、ドライブが楽しいアップダウンのある山岳路を燃費を気にせずに思いっきり走りたい方には、ディーゼルは最高の相棒になります。このほか、単純に「パワフルで燃費のイイ車が欲しい!」という方にもお勧めです。

ご自分のカーライフと照らし合わせてビビッときた方は、新しいタイプの相棒として、MINIのディーゼルを迎え入れてみてはいかがでしょうか。

text by minicooper-sketch.com

テスト車の基本スペックと価格

ミニクーパー 3ドアと5ドア

左:MINI3ドア 右:MINI5ドア

MINI 3ドア (F56) MINI 5ドア (F55)
ミニクーパーSD ミニクーパーSD
国内発売日 2016年4月
国内価格(税込)
2018年1月時点
376万円 394万円
変速機 6速AT
エンジン ディーゼル ターボ
2.0L 直列4気筒
最高出力 170ps(125kW) 4000rpm
最大トルク 360Nm 1500-2750rpm
加速 0-100km/h 7.2秒 7.3秒
燃費(JC08) 23.8km/L
燃料 軽油
定員 4名 5名
全長/全幅/全高 3860×1725×1430mm 4015×1725×1445mm
ホイールベース 2495mm 2565mm
最小回転半径 5.2m 5.6m
荷室容量 211L 278L
主要諸元 詳細 詳細
主な標準装備 ナビ/ETC/Bluetooth/オートエアコン/レザーステアリング/LEDヘッド&テールライト/LEDフォグランプ/スポーツシート/17インチアロイホイール
マイナーチェンジ 2018年5月(マイナーチェンジの詳細
ヘッドライト&テールライトのデザイン変更/ボディカラーの追加・廃止/ナビをタッチパネル対応の新バージョンに変更/衝突回避・被害軽減ブレーキとアクティブクルーズコントロールを標準化 ほか

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