新型MINIクラブマン(F54)の内装を徹底チェック!

ミニクーパー クラブマン F54 内装

2015年11月に登場したステーションワゴンタイプの「MINI クラブマン(F54)」。ロングボディに4つのドアと観音開きのバックドアを備え、トータル6ドアというMINIブランドらしいユニークなモデルだ。

MINIとしては大きいCセグメント(いわゆる普通車サイズ)に進化した新型クラブマンは、内装面もボディサイズ以上に大きな変貌を遂げている。

搭載エンジンや主要オプションは、2014年にフルモデルチェンジをはたした「第3世代MINIハッチバック 3ドア/5ドア」と共通しているが、内装のデザインは大きく異なる。ハッチバックのオシャレでカワイイ雰囲気とは異なり、落ち着いた「MINIならではのオトナ空間」がそこにある。

当記事では、新型クラブマンの内装の特徴や、内装を彩る主要なオプション、後部座席にフォーカスを当てて解説しよう。

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サークルを中心とした上品かつユニークなデザイン

ダッシュボード

ミニ クラブマン F54 ダッシュボード

新型クラブマンの内装は、ひと目でこれまでのMINIと違うデザインを感じさせる。先代MINI(R56系)にも採用されている大型のセンターサークルは引き継ぎながらも、車幅が1800mmあるクラブマンのワイド感がスマートに表現され、高級車がもつ特有の落ち着いた雰囲気を感じさせる。エクステリアのチャーミングなフロントフェイスに対して少しギャップを感じる面もあるが、新時代の「大きなMINI」に相応しい貫禄を放っている。

同世代のMINIハッチバック 3ドア/5ドアの内装と比べると、両サイドのエアコンダクトが円形から四角形になるなど、インパネの各パートが柔らかいフォルムから直線を活かしたフォルムへと変更されている。そのため「ハッチバックよりも全体的にオトナっぽいデザイン」という印象を与えている。

これまでのMINIの内装はオシャレでポップなイメージだったが、この新型クラブマンにそれは当てはまらない。だからといって、オジサンだけが似合うクルマになっているわけではなく、ユニークな大型のセンターサークルによって、遊び心はちゃんと表現されている。

「高級感があって洗練されているけど、ちょっとカワイイ!」

新型クラブマンの内装は、そんな声が聞こえてきそうだ。つまり「MINIにしかできないユニークなデザイン」といえるだろう。

主要機能の配置

ミニ クラブマン F54 インテリアサーフェスド ピュアバーガンディー

ステアリングホイール前方に、スピードメーターとタコメーター、センターサークルにナビ、主要なライト類のスイッチはステアリング右下、ETCのカードスロットはルームミラーに一体化(クーパーSのみ標準)されている。写真にあるスイッチの付いたマルチファンクションステアリング(オプション)は、クルーズコントロールや音楽関連の操作を手元で行うことができる。

これまで国産車に乗っていた方でも、基本的な使いやすさは全く問題ないので安心してほしい。ただし、ウインカー(方向指示器)は、国産車とは逆の左レバーで操作するため、ほんの少しの慣れが必要になる。(国産車からMINIに乗り換えた直後は、ウインカーとワイパーを間違えてしまうことはよくある話)

試乗インプレッション

筆者が実際にクラブマンに乗ったときの第一印象は「低くてワイドな空間」ということ。写真では伝わりにくいが、車幅(1.8m)は普通車並にあるものの天井が低いため、横方向の広さを強く感じた。MINIハッチバックと比べると、助手席の人との距離感が自然でゆとりがあり窮屈感はない。落ち着いて堂々とした内装デザインも手伝って、プレミアムカーに乗っているという感じは十分。MINIハッチバックや先代のMINIクロスオーバーと比べ、ボディ先端までの距離感が少しつかみにくい感じがした。ちなみに、街乗りでの乗り心地は、ハードでもソフトでもなくフラットな印象。

標準装備の純正HDDナビゲーション

ミニ クラブマン F54 ナビゲーション

センターサークルには、クラブマンの全グレードで標準となる「8.8インチディスプレイのナビゲーションシステム(詳細)」が備わる。このシステムはナビだけではなく、オーディオ機能やスマートフォンをつないでWebサービスと連携できるMINIコネクテッドなども含む。

※ハッチバックでは、クーパーSとジョンクーパーワークスのみ標準装備。

サークルの外周はLEDイルミネーションで彩られ、各種操作と連動したり、気分によってカラーチェンジを行うことができる。後部座席からもよく見える位置にあるため、室内のシンボル的な存在といえる。

残念ながらナビのディスプレイは「タッチパネル」ではないため、主な操作はシフトレバー後方にある「MINIコントローラー」と呼ばれるダイアル型のインターフェースでおこなう。ややクセのある操作感だが、慣れてしまえば問題ない。ちなみに、その横にあるボタンは、MINIで初採用の電気式パーキングブレーキ(ハッチバックは左手でバーを引き上げる一般的なタイプ)。

ナビのディスプレイは、総合的なインフォメーションの役割も担っており、スポーツやエコの走行モードが楽しめるMINIドライビングモード(オプション)と連動した画面表示をおこなったり、車両のオイルチェックや各機能の設定にも活用される。

2ゾーンオートエアコンとヘッドアップディスプレイ

ミニ クラブマン F54 オートエアコンとヘッドアップディスプレイ

ナビの下にあるのは、オートエアコンやエンジンスタートなどのスイッチが並ぶ操作パネル。そのさらに下には、USBスロットとAUX入力端子というベーシックなレイアウト。

標準装備の2ゾーンオートエアコンは、3つのダイヤルが並ぶインターフェースで、それぞれのダイアルで運転席と助手席の温度設定が個別に設定することができる。エンジンスタート/ストップなどのスイッチは、上下に動くクラシカルなトグル式が採用されており、いかにもMINIらしいオシャレなデザインで、エンジンスタートという単純な動作も楽しい気分にさせてくれる。このように実際に手に触れる部分は、内装の隠れた主役でもある。

同じく標準装備のUSBスロットとAUX入力端子は、音楽ファイルの入ったスマートフォンや携帯オーディオプレイヤー、USBメモリー等をつなげることで、簡単にお気に入りの音楽を楽しむことができる。さらに、オーディオストリーミングに対応したBluetooth(無線通信)も標準で備わっているため、自分にあった方法を選択することができる。(当クラブマンを含む第3世代MINIからは、CDやDVDを挿入する物理的なプレイヤーは備わっていない。)

ステアリングホイールの前方にあるのは、オプションのヘッドアップディスプレイ(HUD)。透明な板に、ナビゲーションや音楽、車速などの情報が表示される。いっけん近未来的でカッコイイだけの機能に見えるが、運転中に前を見たまま各情報の確認ができるため、わき見運転による事故のリスクを軽減する効果が期待できる。

曲線が織りなす美しいインテリアパネル

ミニ クラブマン F54 ドアトリム

内装のディテールを演出するのは美しいインテリアトリム。ダッシュボードやドアの内側などを、美しい曲線や質感で華麗にドレスアップする。このようなインテリアパネルは、MINIでは定番となっているが、とくにクラブマンに用意されているパーツは一段と繊細な印象を与える。

写真はオプションのピュアバーガンディーイルミネーテッドを装着。エアコンダクトまわりのクロームメッキパーツは、クロームラインインテリア(クーパーのみ標準)の一部。

LEDイルミネーションがナイトドライブを彩る

ミニ クラブマン F54 ドアトリムのLEDイルミネーション

クラブマンのドアトリムには、LEDのイルミネーション(オプション)が埋め込まれており、ナイトドライブの気分を盛り上げてくれる。普通のクルマならば過剰な演出とも思えるが、MINIだからこそ許される遊び機能だ。カラーバリエーションも豊富で、気分によってカラーチェンジしたり、ボディカラーとのコーディネートを楽しむのもいいだろう。

Check! ドアトリムのLEDイルミネーション動画

MINIで初搭載の電動調整レザーシート

ミニ クラブマン F54 電動レザーシート インディゴブルー

クラブマンには、MINIで初めてとなる電動調整式のフロントシートがオプションで用意されている。シート側面に設置されたスイッチで、シートの高さや前後の位置、背もたれの傾きなどを電動で調整することができる。さらに、調整した設定を2つまで記憶できるメモリー機能にも対応しているため、家族で使用する場合に、運転者によってシートを再調整する必要がないのが嬉しい。(電動シートにはシートヒーター機能も備わっている)

写真のシートは、電動シートの「レザーチェスター インディゴブルー(クーパーSで40万円)」。デニムのような深みのあるブルーと丁寧なステッチが、車内をレトロモダンな空間に演出している。高額なオプションのため、実際に装着している方は少ないが、このほかのオプションを控えめにして、豪華なシートにコダワってみるのもクラブマンらしい買い方だろう。

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ロングドライブOK!十分な広さの後席

ミニ クラブマン F54 後部座席(リアシート)

MINIのラインナップの中でクラブマンを選ぶ1番の理由は、この広い後部座席にほかならない。3人掛けとなるクラブマンの後席は、写真のとおり必要十分な足元スペースが確保されている。大人3人が快適に座れるとまでは言えないが、ロングドライブでも家族から不満がでることはないだろう。

ドアの内側には大きな収納ポケット、中央の席の足元には「エアコン吹き出し口と12V電源(シガーソケット)」が備わっている。12V電源に「MINI純正のUSBチャージャー」を接続すれば、スマートフォンやタブレットの充電もできる。つまり、クラブマンの後席は、蒸し暑い夏も快適で、バッテリーを気にせずエンターテインメントを楽しむことができる「家族仕様」といえる。

MINIで後席に「エアコン吹き出し口と12V電源」の両方が備わっているのは、クラブマンと2017年にフルモデルチェンジしたSUVのMINIクロスオーバー(F60)のみとなっている。

ただし、クラブマンは天井が低いため、後席全体の広さは、天井が高いMINIクロスオーバーには及ばない(先代のクロスオーバーにも劣る)。MINIハッチバックの3ドアを延長したMINI5ドア(F55/2014年10月発売)よりは格段に広いが、後席の広さを最優先に選びたい場合は、MINIクロスオーバーの検討をお勧めする。

参考:後部座席の比較

モデル 広さと乗りやすさ エアコン吹き出し口 12V電源
MINI 5ドア(F55)
クラブマン(F54)
新型クロスオーバー(F60) ◎◎
先代クロスオーバー(R60)

表は、MINIのライナップの中で4ドアをもつ「ハッチバックのMINI5ドア」、「ステーションワゴンのクラブマン」、「コンパクトSUVのクロスオーバー(新型/先代)」の後部座席を比較したもの。「広さと乗りやすさ」は、足元のスペースや頭上スペースを含めた居住性と、ドアとその開口部の広さ、座席の高さが影響する乗り降りのしやすさを、筆者の試乗体験を元に評価してみた。

クラブマンとクロスオーバーは、必要十分な広さをもっているが、MINIハッチバックの5ドアは、ボディサイズがひとまわり小さいことで、後席用のドアが(かなり)小さく背もたれの角度もやや立っているため、居住性は他の2つよりも明らかに劣る。だが、この中で最も「MINIらしいスタイリング」を楽しめるため「後席の利用頻度は少ない」「滅多にロングドライブをしない」「後席は小さな子ども専用」といったケースでは、十分に選択肢に入るモデルだ。

居住性がもっとも優れているのは、MINIで一番大きなボディをもつ新型のMINIクロスオーバー(F60)。空間の広さだけではなく、MINIで唯一となる後席の前後スライドとリクライニングができる点が非常に大きい。

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様々な利用シーンに対応する荷室

ミニ クラブマン F54 荷室(トランク)

クラブマンを特別なクルマにしている観音開きのバックドア。その奥にある荷室は、ステーションワゴンタイプの車としては際立って大きくはないが、大型のスーツケースを2~3個積むことができる十分なスペースをもつ。

床のフタを持ち上げれば、より深い荷室に拡張することができる。さらに、後部座席の背もたれを倒せば、最大1,250リッターまで拡大することが可能。これは、コンパクトSUVのMINIクロスオーバー(R60)を超える積載容量になる。天井が低いため、高さのあるモノは苦手だが、ロングボディを活かして長尺の荷物には幅広く対応できるだろう。

荷室の側面には12V電源と小物入れ、観音開きのバックドアの内側には、大型の収納ポケットも備わる。キャンプなどの荷物が多い遊びも、クラブマンならば難なくこなすことができる。コンフォートアクセスシステム(オプション)を使えば、バックドアを自動でオープンすることも可能。両手がふさがっているときに便利な機能だ。

後部座席は標準で6:2の2分割で倒すことができるが、オプションのスルーローディングシステムを選ぶと、写真のように4:2:4の3分割で倒すことが可能になる。中央の席だけ倒せば、後席に2人の乗車を確保したまま、長尺物の積み込みにも対応できる。荷室に置いた荷物を取り出す場合にも便利な機能だ。

観音開きの使いやすさについて

クラブマン最大の特徴でもある観音開きのバックドアだが「使いやすいか?」と聞かれると、正直言って疑問符がつく。筆者は、右側のドアを開けないと左側のドアを開けられないルールや、開けたドアが手前に迫ってくるため少し後ずさりしなければ体に当たってしまうこと(周囲の障害物にも気をつかう)、雨が荷室に入り込みやすい点などが気になった。例えば、仕事道具を積み込んで頻繁に出し入れする場合は、ストレスがたまるかもしれない。

サンルーフはクラブマンに最適

ミニ クラブマン F54 電動パノラマ ガラス サンルーフ

オプションの電動パノラマ ガラス サンルーフ(15.7万円)は、クラブマンのローワイドな室内に明るい開放感を与えてくれる。クラブマンは、家族仕様が想定されるものの、低めの天井によって若干の窮屈感がある。とくに、天井の高いミニバンやSUVから乗り換えた場合は、違いを感じやすいだろう。サンルーフを装着すれば、頭上の開放感はバツグンで、ロングドライブがいっそう楽しくなることは間違いない。

サンルーフのガラスは前席と後席で区切られており、前席の頭上のみ電動でオープンすることができるため、MINIコーンバーチブルのようなオープンドライブを楽しむことができる。MINIは、ほぼ全てのモデルで電動サンルーフがオプション設定されているが、装着率は低い。だが、筆者は、上記の理由によりクラブマンとサンルーフの相性はMINIの中で最も良いと考えている。

なお、クラブマンのルーフカラーは「ホワイト・ブラック・シルバー・ボディと同色」の4つを選ぶことができるが、例えば、ホワイトルーフにサンルーフを装着すると、サンルーフ部分が四角形のブラックになってしまうため、せっかくのMINIらしい2トーンカラーが少し弱まる。この点だけは、予め認識しておきたい。(基本的にサンルーフはブラックルーフにお勧めしたい)

標準装備のインテリアトリムとシート

クラブマン クーパーの内装

ミニ クラブマン F54 クーパーの標準インテリア

※マルチファンクションステアリングはオプション(国内仕様は右ハンドル)

これまでに掲載した内装は、オプションが多数装着されているため、標準の内装よりも大幅に見栄えが良くなっている。グレードによっても異なるため、最後にグレードごとの標準の内装を紹介しよう。

標準グレードの「クラブマン ミニクーパー(1.5リッター 3気筒 ターボ)」は、ピアノブラック(艶有の黒)とクロームメッキのインテリアトリムが標準装備となる。クロームメッキはクロームラインインテリアと呼ばれ、エアコン吹き出し口などに鏡面のメッキパーツが備わる(クーパーSは無し)。ちなみに、クーパーは上位グレードのクーパーSよりも、外装と内装ともにクロームメッキパーツが多用されており、伝統的なMINIらしいクラシックなイメージになっている。

クーパーのシートは、標準的な形状のファブリック(布地)タイプが備わる。ステッチの色がグラデーションになっているなど、MINIらしいコダワリを感じ取れる。

クラブマン クーパーSの内装

ミニ クラブマン F54 クーパーSの標準インテリア

※マルチファンクションステアリングはオプション(国内仕様は右ハンドル)

スポーツグレードの「クラブマン ミニクーパーS(2.0リッター 4気筒 ターボ)」には、グレーの細かいチェックパターンがデザインされたインテリアトリムが標準装備。クロームラインインテリアは装備されないため、クーパーの内装よりも少し落ち着いた印象となる。

クーパーとクーパーSの内装で最も異なる点がシート。クーパーSには、素早いコーナリングでも体をしっかりとサポートするスポーツシートが備わる。座面の先端も拡張できるため、最適なシートポジションで快適にドライブすることが可能だ。

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text by minicooper-sketch.com