新型ミニクーパー(3ドア/5ドア) 進化した内装を徹底チェック!!
7年ぶりにフルモデルチェンジした新型MINIハッチバックのMINI 3ドア(F56/2014年発売)は、インテリア(内装)も大幅に進化している。ボディが拡大して少し余裕が生まれた車内には、先代を継承しつつも新しい世界が構築され、ワンランク上のNEW MINIとして成長をはたした。
当記事では新型MINI3ドアのインテリアにクローズアップして、その成長の中身に迫ってみたいと思う。なお、3ドアの全長を伸ばして後部座席用のドアを追加したMINI5ドア(F55/2014年発売)も、同じインテリアデザインを採用している。
MINIは、MINIからMINIへ乗り換える「MINI to MINI」が多いクルマ。先代ハッチバック(R56/2007年発売)と比較した視点も加味しているので、旧型から新型への乗り換えを検討している方にも参考になるだろう。
※掲載している写真は、左ハンドル車と右ハンドル車(国内仕様)が混在しています。
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真面目に遊ぶ大人のインテリア
先代MINI(R56)に比べ、柔らかい曲線が減り大人びた精悍なデザインになった。MINIのインテリアで最も特徴的なのはセンターの丸いパネルだ。先代ではコミカルと思えるほどの大きなスピードメーターが配置されていたが、新型MINI(F56)では、ナビや車両情報などを表示するディスプレイが埋め込まれ、センターコントロール的な役割を担う。
写真はクーパーSに標準装備される「純正ナビゲーションシステム(詳細)」が埋め込まれた状態。そのほか、クロームメッキの装飾が施されるオプションのクロームラインインテリアとマルチファンクションステアリングを装着している。
ダッシュボード全体のフォルムは、センターの丸いパネルをグッと手前に持ち上げるようなデザインになっている。先代MINIは、ベースのダッシュボードに丸いメーターやエアコン吹き出し口がはめ込まれているデザインで、それがクラシカルな雰囲気を生んでいたのだが、新型はダッシュボードと各パーツが1つのカタマリのように融合していてスキの無い現代的な力強さがある。
一言でいえば、新型車らしくなったと言えるのだが、先代よりもオリジナリティが弱まってしまったことは否定できない。
筆者が初めて運転席に座った時のファーストインプレッションは「高級感」に尽きる。全体的なコンセプトは先代を継承しているが、オシャレでカワイイMINIから、ちょっと遊び心のある高級な輸入車になったという印象だ。開発元であるBMWの色が強くなったとも言える。
しかし、完全に大人化したわけではなく、先代よりも大きくなった丸いセンターパネルが示すように、MINIならではのデザインがコアとなっており、他の車と比べれば、やっぱりMINIだなと納得する。
新型MINIのインテリアで一番の遊び要素は、リング型のLEDライトだろう。このLEDリングはMINIと対話するかのようにドライバーの操作に対して様々な反応を魅せてくれる。例えば、エンジンの回転数の応じてイルミネーションが変化したり、エアコンの温度を上げるとレッドに、下げるとブルーになるなど、楽しさと分かりやすさを兼ね備えたインタラクティブなギミックになっている。(関連オプション:MINIエキサイトメントパッケージ)
また、発光カラーを好みに応じてブルー、イエロー、オレンジ、ピンクなどから選択することもできる。気分によって変えたり、ボディカラーと合わせるなど、ちょっとした自己満足感に浸れること間違いなしだ。
ダッシュボードまわり
左:純正ナビ(クーパーS標準) 右:標準装備
先に述べたが、クーパーSには純正ナビが標準装備される。ディスプレイは8.8インチのワイドタイプで、ナビの画面デザインは円の曲線を活かしたものとなっておりインテリアの世界観とマッチしている。
クーパーとワンは、写真右のベーシックラジオが標準となる。ラジオ以外にも車両情報を表示したり音楽ファイルを再生することが可能だ。円の下側には、各機能を登録してボタン1つで呼び出すことができるショートカット用のボタンが配置されている。
純正ナビのディスプレイは、ナビを表示するだけではなく、iPhoneと連動してWebサービスを表示したり、リアビューカメラの映像を映したり、車両情報や走行モードなどをグラフィカルに表示するなど幅広く活用される。詳しくはこちら「純正ナビを徹底解説」
左:USBスロット/AUX 右:ヘッドアップディスプレイ
標準では物理メディア(CD/DVD)のスロットは用意されないが、シフトレバー前方にある備え付けのUSBスロットにUSBメモリやスマートフォンを接続することで音楽ファイルを再生することが可能だ。このほかにも、DC12Vの電源ソケットとAUX入力端子を備える。
右の写真は、オプションのヘッドアップディスプレイ。開閉式になっており、透明なプレートにナビやオーディオの情報を表示する。視線を前方に保ったまま各情報を確認できるため、カッコイイだけでなく安全走行に役立つ。
中央:MINIドライビングモード 右:MINIコントローラー
ナビを装備すると操作を行うためのMINIコントローラーがサイドブレーキ横に設置される。表面はタッチパッドになっており、地図のスクロールや文字の手書き入力に対応している。
真ん中の写真は、オプションのMINIドライビングモードに付加されるロータリースイッチ。左右に回転させることにより、ゴーカートフィーリングを楽しめるスポーツモードや燃費重視のグリーンモードに切り替えることができる。
ナビゲーションパッケージには、フロントのアームレストも含まれる。中にはスマートフォンを格納できるように設計されており、着信の呼び出し音が外に聞こえるように側面にメッシュが設けられている。ナビゲーションパッケージがオプションとなるクーパーやワンには、アームレスト単体で装着することが可能だ。
マルチファンクションステアリング(オプション)は、左でクルーズコントロール、右でオーディオ関連の操作に対応する。標準では、クーパーとクーパーSは3スポークのスポーツレザーステアリング、ワンは2スポークのステアリングになる。
パドルシフトはクーパーSのAT用のみオプションで用意される。操作性も変更されており、先代MINIの「手前に引いてシフトアップ&押してシフトダウン」ではなく、「右手でアップ&左手でダウン」のスタンダードなものとなった。
先代MINIでセンターに鎮座していた大きなスピードメーターは、ステアリング前方に移設された。左わきの半円はタコメーター、右のメモリは燃料計になる。スピードメーター内には、インフォメーションディスプレイが配置され、燃費や速度、外気温などの情報が表示される。ナビやドライビングモードに関連する情報も表示されるので、利用頻度は思いのほか高い。※日本仕様車は260kmまでの文字盤になる
インパネ下部には、エンジンのスタート/ストップボタンが備わる。左右のトグルスイッチを従えるようにセンター配置されており、なかなかカッコイイ。基部の赤いライトがMINIに火をともすのを待ち構えているような演出効果を出している。ちなみに、キーは先代のようにスロットに差し込む必要はない。身に着けているだけでエンジンスタートができる。
クーパーSとクーパーには、2ゾーンのオートエアコンが標準装備される。2ゾーンとは運転席側と助手席側を個別に温度調整できる便利な機能。左右のダイヤル式スイッチにそれぞれ設定温度が表示されるので、直感的で分かりやすい。エントリーモデルのワンは、マニュアルエアコンが標準装備となる。
左:MTのシフトノブ 右:ATのシフトノブ
新型MINI(F56)にも、全てのモデルで6速のMT車とAT車が用意される。MTで走りを楽しみたい方にとって、MINIから目が離せないポイントの一つだろう。ATは先代同様にアイシン製(改良版)を採用。
左:ウィンドウとドアミラー関連のスイッチ 右:ライトスイッチ
ドアロックとパワーウィンドウのスイッチはドア側に移設された。(写真は左ハンドル車) 先代MINIはデザイン性を優先してインパネ中央に配置されていたため、新型になって普通の配置になり格段に使いやすくなった。ドアミラーの開閉と角度調整のスイッチも備わっている。
いっぽうヘッドライトとフォグランプのスイッチは、ステアリング右下奥のダッシュボードに移設。運転中には完全に死角となるため、少々なれが必要かもしれない。ハイビームはステアリング左のレバーで行える。
オプションのライトパッケージを装着すると、ルームライトに左右独立したリーディングライトがトグルスイッチと共に追加される。例えば、運転席側だけを照らしたければ、右端のトグルスイッチを倒す。このクラシカルなトグルスイッチがMINIインテリアのキーポイントになっている。
シフトレバー前方には、2つのドリンクホルダーが備わる。先代と同じ配置だが、新型はボトルを固定するゴムが付いていないため、細身のボトルの場合はホールド性が低いようだ。
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豊富なインテリアトリム
インテリアサーフェス:チェックの部分 カラーライン:チェックの下側
MINIのインテリアは、インテリアサーフェスとカラーラインと呼ばれるオプションのトリム(内装のカバー)が3~4種類用意されており、それらを組み合わせることによって自分好みにアレンジすることができる。
標準装備されるインテリアサーフェスはモデルによって異なり、クーパーでは落ち着きのある「ペイジーグレー」、クーパーSとジョンクーパーワークス(JCW)はスポーティな「ブラックチェッカード」となる。
上の写真は、インテリアサーフェスに「ブラックチェッカード」、カラーラインにオプションの「ダークトリュフ」を装着。
インテリアサーフェスに「ピアノブラック」、カラーラインに「サテライトグレー」を装着。
インテリアサーフェスとカラーラインはドア内側のトリムにも共通しており、室内全体を包み込むようにイメージチェンジできる。
こちらは、インテリアサーフェスに「ピアノブラック」、カラーラインに「グローイングレッド」を装着。
インテリアサーフェスに「ダークシルバー」、カラーラインに「シャドーグレー」を装着。
フロントシート
クーパーSには写真のスポーツシートが標準装備となる。スポーツシートには、サイドサポートが備わっており体をしっかり支えてくれる。そのほか、座面を拡張できるサイサポートと背もたれの裏側にポケットが付く。
オプションで通気性のよいパンチングタイプのスポーツシートも用意されている。
リアシート
3ドアは二人掛け
MINI3ドアの後部座席は、二人掛けとなる。ドリンクホルダーは両サイドとセンターの計3つが備わっている。
新型MINIはボディサイズが拡大され、先代よりも後席のフットスペースが広くなり居住性が向上した。絶対的な広さはないものの「まあまあ使える」レベルになったと言える。ただし、それでも大人を後席に乗せた長距離ドライブは厳しいというのが筆者の感想だ。後席を常用する場合は、素直に5ドアをお勧めしたい。
5ドアは三人掛け
写真はMINI5ドアの後部座席。5ドアと3ドアの車幅は同じだが、5ドアは室内の幅が約6センチ広くなっており、後席は三人掛けとなっている。ボディ全長も長くなっているため、足元のスペースも3ドアより4センチほど広い。
また、5ドアの後席はフロントシートよりも少し高くなっているため、3ドアに比べ快適性は遥かに高い。
オプションのレザーシート
オプションのスポーツシート「レザーラウンジ/サテライトグレー(約30万円)」を選択すれば、ラグジュアリー感が高まる。2015年のミニの日(3月2日)に発売されたMINI3ドアの限定車「MINI 13th Anniversary Package」には、このレザーシートが標準装備されている。
6:4で倒せるリアシート
3ドアと5ドアのリアシートは、共に6:4の分割で倒すことができる。1席分を倒してラゲッジルームとつなげれば、大きな荷物も運ぶことが可能だ。
先代よりも広くなったラゲッジルーム
3ドア(容量:211L)
MINI3ドアのラゲッジルームの容量は、先代よりも50L多い211Lに拡大された。床は見た目よりも深くなっており、キャリーケースを縦に収納することも可能だ。
オプションのストレージコンパートメントパッケージを装着すると、フラット状態にすることもできる。
5ドア(容量:278L)
MINI5ドアのラゲッジ容量は、3ドアよりも約30%多い278Lとなっている。リアシートを全て倒せば941Lまで広げることが可能。これは、MINIのSUVモデルであるミニクロスオーバー(R60)よりも約20%小さい容量となる。
基本情報:グレード構成と価格
MINI3ドア(F56)とMINI5ドア(F55)のグレード構成は同じで、各グレードにより搭載エンジンと標準装備に大きな違いがある。
優れた燃費と軽快なドライビングを低コストで提供するエントリーモデルの「ワン(ONE)」、パワーと軽快感を両立したスタンダードモデルの「クーパー」、アグレッシブなエクステリアデザインと純正ナビやLEDヘッドライトなどの装備が充実したスポーツモデルの「クーパーS」が用意されている。
さらに、最も装備が充実したハイチューンモデルのジョンクーパーワークスも設定されている。
MINI 3ドア(F56)
モデル | エンジン (出力 / トルク) |
変速機 | 燃費 JC08 |
価格 |
---|---|---|---|---|
MINI 3ドア ワン |
1.2L 3気筒 ターボ 102PS 180Nm |
6MT | 20.2km/L | 226万円 |
6AT | 19.2km/L | 240万円 | ||
MINI 3ドア クーパー |
1.5L 3気筒 ターボ 136PS 220Nm |
6MT | 19.2km/L | 266万円 |
6AT | 17.9km/L | 280万円 | ||
MINI 3ドア クーパーS |
2.0L 4気筒 ターボ 192PS 280Nm |
6MT | 15.8km/L | 318万円 |
6AT | 17.6km/L | 332万円 | ||
MINI 3ドア ジョンクーパーワークス |
2.0L 4気筒 ターボ 231PS 320Nm |
6MT | – | 398万円 |
6AT | 16.6km/L | 415万円 |
おすすめ記事:購入ガイド / クーパーとクーパーSの違い
MINI 5ドア(F55)
モデル | エンジン (出力 / トルク) |
変速機 | 燃費 JC08 |
価格 |
---|---|---|---|---|
MINI 5ドア ワン |
1.2L 3気筒 ターボ 102PS 180Nm |
MTなし | – | – |
6AT | 19.2km/L | 255万円 | ||
MINI 5ドア クーパー |
1.5L 3気筒 ターボ 136PS 220Nm |
MTなし | – | – |
6AT | 17.9km/L | 298万円 | ||
MINI 5ドア クーパーS |
2.0L 4気筒 ターボ 192PS 280Nm |
MTなし | – | – |
6AT | 16.4km/L | 350万円 |
追記:ディーゼルエンジンモデルを追加!
2016年4月に、MINI3ドア/5ドア、クラブマンにクリーンディーゼルエンジンを搭載したクーパーDとクーパーSDが追加された。ガソリンエンジンモデルより20万円高で、低回転域の強力なトルクと優れた燃費性能をもつ。外装や内装、装備は従来のガソリンモデルと同じ。
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