最後のガソリンエンジン 新型MINI「クーパーS」が初公開!
約10年ぶりのフルモデルチェンジを果たした新型MINI3ドアの「クーパーS」が、ついに正式公開された。
クーパーSは、2リッター4気筒のガソリンエンジンを搭載したスポーツグレードで、MINIならではの活発な走りを楽しみたい方にとって大本命なモデルとなる。
とはいえ、5か月前の2023年9月に公開されたBEV(バッテリー式電気自動車)の「クーパーSE(詳細記事)」に近いデザインとなっているため、それほど新鮮味がない初公開となった。
納車開始は英国で2024年春、国内では2024年後半を予定している。
追記:国内発売日は2024年3月1日、納車は第二四半期以降(7月から9月)を予定。価格は、クーパーCが369万円、クーパーSが465万円。
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よりパワフルに進化!
クーパーSは、初の200馬力オーバー!
写真のボディカラーは新設定の「オーシャンウェーブグリーン」
搭載されるBMW製エンジンのバリエーションは先代(F56)と同じだが、スペックは最高出力&最大トルク共に向上しているため、先代以上に楽しいドライブが期待できそうだ。特に標準グレードとなる「クーパーC」の性能アップは期待が高まる。
組み合わせるトランスミッションも先代(前期型は6AT)と同様に7速DCTを採用、全モデルで前輪駆動となる。
「クーパーS(465万円)」は、2リッター4気筒のガソリンターボで、最高出力204ps(150kW)、最大トルク300Nm、0-100km/h加速は6.6秒。先代の「クーパーS(F56)」に比べ、最高出力は12ps、最大トルクは20Nm向上している。0-100加速は0.1秒の短縮に留まる。
「クーパーC(396万円)」は、1.5リッター3気筒のガソリンターボで、最高出力156ps(115kW)、最大トルク230Nm、0-100km/h加速は7.7秒。先代の「クーパー(F56/後期型)」に比べ、最高出力は20ps、最大トルクは10Nm向上。20psもアップした最高出力の効果か、0-100加速は0.4秒も短縮している。
タイヤサイズは、先代の「205/45 R17」から「215/45 R17」に変更(幅広になった)
ボディサイズは「全長3875mm/全幅1745/全高1455mm」(欧州仕様)で、先代(F56/後期型)に比べて全長はほぼ同じだが、全幅と全高は大きくなった。具体的には、先代より全長が5mm(クーパーCは12mm)、全幅は20mm、全高は25mm大きい。ホイールベースは変わらず2495mmとなる。
さよなら、テールパイプ
パワーアップした一方で、クーパーSのリアエンドに内燃機関の終わりを感じさせる変更が施されていた。
なんと「クーパーS」の魅力の1つであったセンター2本出しテールパイプが消失し、過去のものとなってしまった(排気管は見えな位置に隠されている)。これは非常に残念なことだが、EV時代へ向けて価値観の転換を迫られているようだ。
さよなら、エアインテーク
もう一つクーパーSの象徴であったボンネットのエアインテークも消失。もともとインテーク風の装飾であって機能性は無かったが、テールパイプと共に消えたことで、全体的に弱々しい印象を与えるルックスになってしまったのは否めない。
無駄を省いて、よりMINIらしく
写真は先代(F56)のクーパーS(2021年5月に二度目のマイナーチェンジを受けた後期型)、これがボンネットのエアインテーク(装飾)とリアのテールパイプの見納めとなった。
新世代MINIのデザインコンセプトはデザイン責任者のオリバー・ハイルマーによって公式に明言されている。それは「カリスマティック・シンプリシティ」。超簡単に言うと「無駄を省いて、MINIらしさをより際立たせる」こと。
その無駄な要素に、内燃機関のイメージが強いこの2つ「テールパイプ/エアインテーク」が該当したという事実を正座して受け止めたい。
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外装:クーパーSEとの主な違い
EV専門ブランドへの布石が見える
先に発表されたBEVの「クーパーSE(詳細記事)」と当発表の「クーパーS」は、ほぼ同じボディサイズだが、素性の異なるプラットフォームを使用している。クーパーSEはBEV専用に新開発されたもので、クーパーSは先代(F56)で使用していた内燃機関用の改良版となっている。
そのため、テクノロジー的にはまったくの別モデルといえる。実際にホイールベース(前輪軸から後輪軸までの長さ)は、クーパーSEの方が31mmも長く、車両重量は床下のバッテリーの影響で約300kgも重い。
だが、内外装のデザインは意図的に近いものが採用されており、MINIに興味の無い方にとっては、ほとんど同じモデルに見えるレベルとなっている。
新世代MINIを象徴するモデルとなるBEVの「MINIクーパーSE」と「MINIカントリーマンSE」
これは、同じ新世代MINIとなるSUVの新型「MINIカントリーマン(詳細記事)」でも同様で、この戦略は将来的にガソリンエンジンからBVEへの全面移行をスムーズにするためとみる。
実際にMINIは2021年3月に「2030年代初頭までにEVのみのブランドになる」と公言しており、そこへ向けての準備が既に始まっているからだ。逆算すると、計画に変更がなければ、当世代がガソリンエンジンを搭載した最後のモデルということになる。
フロントフェイスの印象に違いアリ
とはいえ、小さくも意外に大きな違いを生んでいるポイントをフロントエンドで発見した。ボンネットのパーティングライン(開口部の境界線)だ。
ガソリンエンジンを搭載したクーパーSは、先代と同様にヘッドライトの下、正面を上下に二分する位置にあるが、モーターを搭載したクーパーSEは、もっと高い位置(フロントエンブレム上部)にある。
あくまで筆者の主観だが、この違いによってクーパーSEは、クーパーSよりもフロントグリルが先端にある、つまりノーズが突き出しいるように見え、全体的に引き締まったシャープな顔つきになっている。
いっぽうクーパーSのヘッドライトは、太めのブラックリングで囲まれているため、目元のクッキリ感が強い。
フロントグリル中央には、BMWグループで最小のレーダーセンサーが備わり、合計で12個の超音波センサーが運転支援システムをサポート
このほか、クーパーSのフロントグリルにはエアインテークのメッシュをイメージさせるパターン、下部のロアグリルは、クーパーSEよりも少し大きくなっていて、若干のスポーティ感アップに貢献しているようだ。
フェンダーアーチモールは生き残った
クーパーSEのボディサイズは「全長3860mm/全幅1755/全高1460mm」で、クーパーSに比べて全長は15mm小さく、全幅は10mm、全高は5mm大きい。ほんの僅かな違いだが、クーパーSEの方がチョロQ系、つまり前後が短く背が高い寸詰まりなプロポーションといえる。
サイドビューの違いが最も大きい。クーパーSには、歴代のMINIと同様にボディ保護とタイヤ周りを大きく見せる効果があるフェンダーアーチモールが備わっているが、クーパーSEにはそれが無い。空気抵抗の削減と共に、泥臭い無塗装のフェンダーアーチは、BVEのクリーンでシンプルなイメージには不要という判断だろうか。
このほか、クーパーSEはフロントガラスの角度が浅く、ドアハンドルは従来のグリップタイプではなくフラップタイプになっており、優れた空力性能を感じさせる最新モデルという印象を与えている。
リアの違いは僅か
リアはいっけん同じに見えるが、リアバンパー下部のロアスカートに僅かな違いがある。
クーパーSはクーパーSEよりも、縦に大きくなっており、水平のキャラクターラインを与えることで、ほんの少しだけアグレッシブな印象になっている。
センター2本出しのテールパイプがあった先代に比べると、かなり寂しく感じるのがホンネだ。
この他には、クーパーSEの方はテールライトの位置が少しアッパーよりになっており、全体的に少しシャープな印象を与えるプロポーションになっている。
動画
MINIディーラーによる展示車紹介
MINIみなとみらい/MINI港南台/MINI湘南
YouTubeチャンネル「ウエインズインポートカーズ」
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クーパーのモデルラインアップ
左:クーパーC 右:クーパーSE
1. ガソリンエンジン
MINI クーパー | |||
---|---|---|---|
グレード | C | S | JCW |
価格 | 396万円 | 465万円 | 536万円 |
駆動方式 | 前輪駆動 | 前輪駆動 | 前輪駆動 |
エンジン | 1.5L 3気筒 | 2.0L 4気筒 | 2.0L 4気筒 |
最高出力 | 115kW (156PS) |
150kW (204PS) |
170kW (231PS) |
最大トルク | 230Nm | 300Nm | 380Nm |
0~100km/h | 7.7秒 | 6.6秒 | 6.1秒 |
燃費 JC08 | 18.2km/L | 15.9km/L | – |
燃費 WLTC | 16.3km/L | 15.3km/L | – |
車両重量 | 1280kg | 1320kg | – |
※表は2024年10月現在のものです。JCW(John Cooper Works)はジョンクーパーワークスの略称です。
2. BEV(バッテリー式電気自動車)
MINI クーパー | |||
---|---|---|---|
グレード | E | SE | JCW 2025年春発売 |
価格 | 463万円 | 531万円 | 未定 |
駆動方式 | 前輪駆動 | 前輪駆動 | 前輪駆動 |
電気モーター | 前1基 | 前1基 | 前1基 |
最高出力 | 135kW(184PS) | 160kW(218PS) | 190kW(258PS) |
最大トルク | 290Nm | 330Nm | 350Nm |
0~100km/h | 7.3秒 | 6.7秒 | 5.6秒 |
バッテリー総電力量 | 40.7kWh | 54.2kWh | 54.2kWh |
一充電走行距離 WLTC |
344km | 446km | – |
電費 WLTC | 127wh/km | 133wh/km | – |
車両重量 | 1560kg | 1640kg | – |
※表は2024年10月現在のものです。JCW(John Cooper Works)はジョンクーパーワークスの略称です。
ボディサイズ
第4世代MINI クーパー 3ドア |
全長 (mm) |
全幅 (mm) |
全高 (mm) |
ホイールベース (mm) |
|
---|---|---|---|---|---|
クーパーC | 3875 | 1745 | 1455 | 2495 | |
クーパーS | |||||
クーパーE | 3860 | 1755 | 1460 | 2525 | |
クーパーSE |
※サイズは欧州仕様車のもの
クーパーの主な標準装備
クーパー 全モデル共通 | |||
---|---|---|---|
円形有機ELセンターディスプレイ(直径240mm/タッチスクリーン)/ナビ(AR対応)/ETC(ITSスポット対応)/Apple CarPlay/Android Auto/MINI Connected(スマホアプリ)/ワイヤレス充電/ヘッドアップディスプレイ/MINIエクスペリエンスモード(車内の間接照明演出&疑似加速音&走行モード選択)/インテリジェント パーソナルアシスタント(音声操作)/SOSコール(事故発生時に自動連絡)/テレサービス(整備に関する車両状態をディーラーへ自動送信)/コンフォートアクセス(スマートキー)/自動防眩ルームミラー/シートヒーター(フロント左右)※クーパーCはオプション/アダプティブLEDヘッドライト/ハイビームアシスタント(状況に応じで自動切換え)/3年間の主要メンテナンス無償 |
|||
▼ ドライビングアシスタント ※取り消し線「 |
|||
▼ パーキングアシスタント パノラマビュー(リア)/アクティブPDC フロント&リア(駐車時の障害物警告&緊急自動ブレーキ)/ペダル踏み間違い急発進抑制/パーキングアシスト(自動で並列&縦列駐車)/リバースアシスト、後退時ステアリングアシスト(約36km/h以下で前進した直近50mの経路をアクセル操作のみで自動後退) |
|||
クーパーC/クーパーE | |||
16インチホイール/ベースステアリングホイール(2本スポーク) | |||
クーパーS/クーパーSE | |||
▼ パーキングアシスタント プラス サラウンドビューシステム(俯瞰映像、車両全周のパノラマビュー)/リモート3Dビュー(スマホで車両周辺映像確認)/ドライブレコーダー(全方向)/パノラマビュー(フロント&リア) |
|||
17インチホイール/スポーツステアリングホイール/ステアリングホイールヒーター | |||
クーパーE/クーパーSE | |||
急速充電ポート/普通充電ポート/外部給電機能/普通充電ケーブル/モーター走行時走行音発生装置 |
※表は2024年9月現在のものです。
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フォトギャラリー
MINIクーパーS(オーシャンウェーブグリーン)
公式プロモーション動画
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