デザイン責任者が解説!MINIクロスオーバーのマイナーチェンジ

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ デザインコンセプト

MINIクロスオーバー(海外名:カントリーマン)は、MINIで最大かつ最も多用途なモデルとして受け入れられ、2020年現在、MINIの世界新規登録台数の約30%を占めるまでに成長した。

2世代目となる「クロスオーバー(F60)」は、2017年2月に国内販売をスタート。2020年5月に「マイナーチェンジ(詳細)」を発表し、国内発売は同年秋を予定している。

MINIのデザイン責任者である「オリバー・ハイルマー」が、2020年のマイナーチェンジで施されたエクステリアの変更点や個々のデザイン要素の重要性、そして今後の「MINIデザイン」の基本原則となる「削減(簡素化)」について語った。

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MINIブランドにとって、このモデルの存在意義は?

クロスオーバーは冒険心をかきたてるクルマ

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ オフロード走行

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ ホワイトシルバー

オリバー:クロスオーバーは、現行のMINIで最大のモデルです。日常的な使いやすさと、MINIの伝統的なスタイルを兼ね備えたファミリーカーです。しかし、クロスオーバーは冒険家としての精神も持ち合わせており、どこかの山や川へ出かけてみたいと思うようなクルマでもあります。

サイズが大きくてもMINIであることに変わりはありません。マイナーチェンジした新型クロスオーバーでは、このキャラクターをさらに前面に押し出したデザイン要素を多数採用しています。

新しいクロスオーバーは、何が変わったのか?

垂直基調のデザインで、よりSUVらしく

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ 新旧の比較

左:マイナーチェンジ前 右:マイナーチェンジ後 ※共にオプションのALL4パッケージを装着

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ セージグリーン ALL4エクステリア シルバールーフ

オリバー:クロスオーバーに表現力豊かな新しいディテールを導入し、モダンさやバランスという点で進化させました。また、MINIらしさのアイデンティティを与える要素をいっそう目立つようにしました。

フロントエンドでは、クロスオーバーの表情が遠くからでもハッキリと見てとれます。LEDヘッドライトは、まったく新しいデザインであり、最高のテクノロジーを備えています。クロスオーバーの角張ったヘッドライトは、MINIファミリーの中で他のモデルと差別化するために、変更を加えていません。新しいデザインのラジエターグリルは、その周りをクロームメッキのフレームで囲んでいるのが特徴です。

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ ALL4エクステリア フロントバンパー

最も大きく変化したのは、フロントエプロン(フロントバンパー)です。これまでの水平方向を強調したデザインに代わって、垂直方向と堅牢性の表現に重点を置きました。これにより、左右のアウターエアインテークが直立して大きくなりました。また、新色の「セージグリーン メタリック」を追加しています。

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ ジョンクーパーワークス リアビュー

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ リアコンビランプ

リアでは新しいテールランプが目を引きます。英国国旗であるユニオンジャックを抽象的に表現したこのテールランプは、英国の伝統を最先端のテクノロジーで表現しています。立体的なランプカバーを採用して、レリーフ彫刻のようなルックスを表現しました。

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ リアアンダープロテクション ALL4エクステリア

スタイリッシュな「アンダーボディ・プロテクション」は、リアエプロン(リアバンパー)の重要な部分であり、特にALL4パッケージ(ALL4エクステリア)を装着したモデルでは、この部分がさらに際立っています。フロントエプロンと同様に、左右のリフレクターを直立させて、縦方向のイメージを強調しています。

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ ホイール

このモデルの小さなハイライトは、ALL4パッケージの一部として提供する新しいデザインのホイールです。モダンなバイカラーデザインの新ホイールは、視覚的にも力強く、ソリッドな印象を与えます。ダークグレーのスポークとむき出しの加工面とのコントラストが非常にモダンで、クロスオーバーの個性を際立たせています。

ディテールはどれほど重要か?

クロームパーツのブラック化で印象が変わる

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ ヘッドライト

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ クーパーSE ピアノブラックエクステリア

オリバー:クルマ全体の印象を大きく左右するのがディテール(細部)です。ディテールにこだわるだけで、まったく新しい車のような印象を与えることができます。その車がどの時代のものか、どの世代のものかがわかるのは、ディテールなのです。

ヘッドライトを見てみましょう。車の顔となるだけではなく、そのテクノロジーの年代を物語っています。また、クロームメッキのアクセントは、MINIでは長い間、大きなテーマとなっていました。しかし、それを排除するオプションとして「ピアノブラックエクステリア」を用意しています。この装備では、クロームパーツ(ライトリングやラジエターグリルのフレーム、ドアハンドルなど)を光沢のあるブラックに変更し、エクステリア全体をよりスポーティでモダンな印象に仕上げます。

内装の変更点は?

フラット化でモダンになったセンターコンソール

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ 内装

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ ナビの新旧比較

オリバー:インフォテイメントシステム(ナビ)のディスプレイ上部と下部のエリアをフラットな面で一体化して、物理ボタンからタッチ式ボタンに変更しました。これにより、センターコンソールエリア全体がより印象的でモダンな外観になりました。

MINIの将来像は?

無駄を削ぎ落して、お客様の真のパートナーに

左の女性はエクステリアデザイナーのクリスティン・ズリアン

オリバー:マイナーチェンジした新型クロスオーバーがすでに示していますが、これからのMINIブランドの基本原則は「削減(簡素化)」です。物事を省くことで、残された要素が最高のインパクトを与えることができます。

MINIのキャラクターや、MINIで体験できることを考えています。スタイリングを綺麗にすることは、そのための第一歩です。次に機能の削減です。ここでの基本原則は、重要なものに集中することです。重要なことに集中して、それ以外のことは優先順位を下げて後回しにするということです。

ジョンクーパーワークスGP F56

将来的には、MINIを「エクスペリエンス(体験)」として捉えてもらいたいと考えています。私たちは「もっと何ができるか」ではなく、お客様がMINIと仲良くなるために「本当に必要なものは何か」に焦点を当てています。私たちはMINIがお客様の「(やんちゃな)パートナー」になるように願っています。この考え方こそが「MINI」です。

あなたのお気に入り仕様は?

一押しはクーパーSのALL4パッケージ

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ セージグリーン ピアノブラックエクステリア ALL4エクステリア フロントビュー

ミニクロスオーバー F60 2020年のマイナーチェンジ セージグリーン ピアノブラックエクステリア ALL4エクステリア リアビュー

オリバー:個人的には新色「セージグリーン メタリック」のクーパーS(※クーパーSDも同じ外装)に、オプションの「ALL4パッケージ」&「ピアノブラックエクステリア」が気に入っています(上記写真の仕様)。インテリアには、カーボンブラックのMINI Yoursレザーラウンジ(シート)を選びます。

この組み合わせは、目を見張るものがあります。冒険心をくすぐるオフローダーのイメージです。まさに新しいクロスオーバーのキャラクターを体現していると言えるでしょう。

※当記事は、BMW AGが発表した原文をもとに当サイトで意訳&編集したものです。

text by minicooper-sketch.com