MINIが初のインポートカーオブザイヤー(2024-2025)を受賞!

ミニクーパーSE J01 2024年

日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会主催の「2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー」において、新型MINIクーパーが「2024-2025インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。

個性的でオシャレな輸入車として一目置かれる「MINI」ではあるが、意外にも同賞の受賞は初となる。

第1世代のMINIが2002年に国内に導入されてから、今年で22年目を迎える。第2世代、第3世代へと進化を果たし、2024年3月に発売した第4世代で遂に悲願の初受賞となった。

受賞の一翼を担ったEVの「MINIクーパーSE」一充電走行距離は日常使いに十分な446km、価格は531万円

「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」は、対象期間に発売された輸入車の中で最も優れたモデルに与えられる称号。

最終選考に残った輸入車は、「MINIクーパー」「ヒョンデ アイオニック」「BYD シール」「ボルボ EX30」の4台。MINI以外はEVのみで、MINIだけがEVとガソリンエンジンの両方をラインアップしている。全く異なる2つのパワートレインの完成度は、MINIの受賞理由の重要なポイントとなった。

2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー 10ベストカー

ノミネートされた全てのモデルから選考委員の投票により選出された「10ベストカー」。これらのモデルを選考委員がサーキットで試乗して、最終投票が行われた。

また、最終選考に残った国産車を含む全10台の中でもMINIは堂々の第3位(172点)を獲得。しかも、第4位(110点)の「スズキ フロンクス」に大差を付けた得点を獲得している。

ちなみに、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」となる第1位(220点)は「ホンダ フリード」、第2位(196点)は「マツダ CX-80」だった。

さらに、同MINIはNPO法人日本自動車研究者ジャーナリスト会議が主催するもう一つのカーオブザイヤー「第34回(2025年次)RJCカーオブザイヤー」においても「RJCインポート・カーオブザイヤー」を受賞。

国内の二大カーオブザイヤーを制覇するダブル受賞となった。双方の選考委員は評価するポイントが異なるため、様々な観点から高い評価を得た文句なしの結果といえる。

後席ドアも無く全長4mに満たないMINI(3ドア)が、車格が大きく実用性の高いライバルたちの中で健闘したことは、いちMINIファンとして痛快な想いだ。

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気になる授賞理由

ミニクーパー 2024-2025年 インポートカーオブザイヤー

EVの「MINIクーパーSE」

選考委員59名のうち、MINIに最高点の10点を付けたのは10名。「なぜ強力なライバルの中でMINIが選ばれたのか?」選考委員のコメントを「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の公式サイトから引用してみた。

購入を検討している方は参考に、すでにオーナーの方は鼻を高くして読んでみよう。

総評

第4世代 ミニクーパーS 3ドア F66 2024年 ダッシュボード

シンプルさ、痛快なドライブフィール、ラジカルさ…..新型MINIクーパーはその伝統的名称からユーザーが期待するすべてを高次元で進化させた。10ベストカーに4台の輸入車が選出された中で、EVだけでなくガソリンエンジンモデルをラインナップしたのはMINIクーパーのみである。BMW7シリーズと同等の安全装備/運転支援システムを装備したことも注目に値する。コクピットのデジタライズ、リサイクル素材の積極採用等、実用性と遊び心を満載させた点も面白い。

MINIに最高点を付けた選考委員のコメント

ミニクーパー 2024-2025年 インポートカーオブザイヤー 最終選考会

石井昌道(モータージャーナリスト)

ステアリング操作に対して忠実に従ってくれるハンドリング性能にまず感動し、その上でデザイン性やデジタライズでの遊び心など、MINIらしいキャラクターに思わず財布の紐が緩みそうになる思い。BEVとICEでは重量および重量配分が違うものの、運転して得られる歓びや動きは似ている。走りのキャラクターもMINIそのものなのだ。エンジニアリング能力とセンスの高さに感服した

宇並哲也/うな丼(自動車YouTuber)

MINIクーパーは車名縛りからデザインとサイズと排気量をそれほど大きく変更できないのに4世代に渡り確実に全項目で進化&商業成功させている。こんな単一銘柄は類例がないMINIクーパーは車名縛りからデザインとサイズと排気量をそれほど大きく変更できないのに4世代に渡り確実に全項目で進化&商業成功させている。こんな単一銘柄は類例がない

金子浩久(モータージャーナリスト)

MINIクーパーの運転支援機能が秀逸。走りも痛快でEV版では上質感も備えている。MINIという歴史的リソースをフル活用しながらもレトロ趣味に陥らず機能性能面は先進性に溢れている点を高く評価した。EX30はミニマリズムを極めたインテリアが造形だけではなく操作性に優れている点を評価。再生可能素材やリサイクル材などを積極的に用いて単なる“エコポーズ”で終わらず魅力的に仕上げている。MINIクーパーも同じ。

九島辰也(モータージャーナリスト)

今年はMINIという自動車業界を代表するクルマのフルモデルチェンジに当たった。なので注目するのは当然だが、想定以上に全てが進化していた。エクステリアひとつとってもそうで、「MINIはこうあるべき!」といった概念に沿いながらの仕上がりは素晴らしい。デザイナーは相当苦労したはずだ。また、インターフェイスの劇的な進化も本賞に値する。MINIだからできることを具現化した。走りも良い。MINIのゴーカートフィーリングはさらに磨かれた。それとBEVの登場も高く評価したい。

こもだ きよし(モータージャーナリスト)

時代が変わってもMINIのゴーカートフィーリングは変わらない。しっかりしたボディと、しっかりしたサスペンションにより、ドライバーの意思を忠実に表現することができる。MINIらしい走る愉しさは健在なのだ。ワインディングロード、サーキット、高速道路、市街地でも楽しめる。それは飛ばすという意味ではなく、ドライバーが正確にコーストラッキングできること。ハンドルだけでなく、アクセルやブレーキコントロールも思いのままだ。

ミニクーパーS 5ドア 2024-2025年 インポートカーオブザイヤー 最終選考の走行シーン

試乗会で袖ヶ浦フォレストレースウェイ(千葉県)を走るガソリンエンジンの「MINIクーパーS 5ドア

佐野弘宗(自動車ライター)

エンジン車と電気自動車(BEV)のクーパーは見た目そっくりで一見同じクルマなのに、じつはプラットフォームから別物……のアイデアは目からウロコ。結果として、室内空間やデザイン、走行性能にいたるまで、エンジン車とBEVともども他車と一線を画す完成度。ゆったり広い運転席や路面に吸いつくゴーカートフィールというMINI伝統の魅力が、BEV化によって見事によみがえっていることにも感心。そのクルマづくりには、多様なパワートレインが混在であろう今後10年のトレンドが見える気がします。

嶋田智之(自動車ライター)

先祖であるクラシックMINIはマジメな実用車として作られたが、極めて大きなドライビングプレジャーを感じさせてくれる稀有な存在でもあった。現行MINIクーパーはその持ち味を誰もが自然に楽しめるような、素晴らしく洗練されたクルマに仕上がっている。しかも、だ。内燃エンジン版とBEV版があり、乗り味はもちろん異なるものの、どちらもMINIならではの楽しさを享受できる。古の哲学が今も素敵なカタチで活きていることが、クルマ好きとして嬉しい。今シーズン、最も心が動かされたクルマだ。

萩原秀輝(AJAJ会員)

MINIクーパーは、クルマ界のアイドルと呼べるほどキャラが立っています。その位置づけを、デザイン言語「カリスマティック シンプリシティ」に基づき強調。それでいて、素っ気なさを感じません。また、BEVは走行距離競争に加わらずバッテリーによる重量増加を回避。効率と利便性の最適バランスを実現。しかも、価格設定が競合BEVと比べて超お値打ちです。ICEのMINIは、プラットフォームを一新したのではないかと思えるほど走りの質感が向上したことを含め選出しました。

松本英雄(自動車テクノロジーライター)

クーパーは品質が高く所有していて愛着を感じさせる。ビビットな運動性と成熟したシャシーは強靭でいて路面のアンジュレーションをしなやかに受け止める。

渡辺慎太郎(自動車ジャーナリスト)

パワートレインはBEVと純粋なICE、ボディは3ドア/5ドア/コンバーチブルの3種類を用意して、幅広い選択肢を提供。一方で、パワートレインやボディ形状の違いを問わず、MINIの独特な世界観がどの仕様からも感じ取れました。乗り味だけでなく装備や内外装の細部に至るまで、包括的に「MINI」というブランドをプロデュースすることに成功していると思います。走る/曲がる/止まるの基本性能はBMWの技術力に裏打ちされていて、時代のニーズと顧客の多様化に応えつつも信頼性の高い1台です。

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受賞モデル「MINIクーパー」とは?

第4世代MINIの基幹モデル、EVとガソリンから選択可能

受賞したモデルは、2024年3月に国内販売をスタートした第4世代MINIの「MINIクーパー」。

同世代のMINIは受賞した「クーパー」の他に、MINI初のEV専用モデル「エースマン(詳細)」、MINI史上最大サイズとなるSUVの「カントリーマン(詳細)」をラインアップしている。

ミニクーパーE 3ドア BEV J01 2024年 インテリア

第4世代のMINIは、これまでの愛されるキャラクターをより洗練させシンプル化。安全&運転支援機能を拡充し、インテリアでは円形の大型有機ELディスプレイを採用して、インフォメーションを集約。サスティナビリティを実現するためダッシュボード等にはリサイクル素材を大胆に活用するなど、エクステリアの魅力的なデザインに負けない先進性と機能性を備えている。

ミニクーパー5ドアとミニクーパー3ドア 2024年

左:MINIクーパー 5ドア(ガソリンエンジンのみ) 右:MINIクーパー 3ドア

「MINIクーパー」には3つのボディタイプが用意されている。最もコンパクトな「MINIクーパー 3ドア」、3ドアの全長を伸ばして後席ドアを追加したヒットモデル「MINIクーパー 5ドア(詳細)」、3ドアをベースにしたオープンモデル「MINIクーパー コンバーチブル(詳細)」から、カーライフに合わせた選択が可能となっている。

ミニクーパー 新型ジョンクーパーワークスと新型ジョンクーパーワークス コンバーチブル 2024年

「MINIクーパー 3ドア」のパワートレインは「1.5Lと2.0Lのガソリンエンジン」と専用のプラットフォームを使用した「EV」から選択が可能。それだけにとどまらず、走り好きを刺激するハイパフォーマンスモデルの「ジョンクーパーワークス(詳細)」をEVとガソリンエンジンの双方に設定するなど、全方位でユーザーの要望(楽しい!)に答えられるモデル構成となっている。

MINIクーパー(3ドア)のモデルラインアップ

ミニクーパーCとミニクーパーSEのフロントビュー比較

左:クーパーC 右:クーパーSE

1. ガソリンエンジン

  MINI クーパー
グレード  C   S  JCW
価格 396万円 465万円 536万円
駆動方式 前輪駆動 前輪駆動 前輪駆動
エンジン 1.5L 3気筒 2.0L 4気筒 2.0L 4気筒
最高出力 115kW
(156PS)
150kW
(204PS)
170kW
(231PS)
最大トルク 230Nm 300Nm 380Nm
0~100km/h 7.7秒 6.6秒 6.1秒
燃費 JC08 18.2km/L 15.9km/L
燃費 WLTC 16.3km/L 15.3km/L
車両重量 1280kg 1320kg

※表は2024年10月現在のものです。JCW(John Cooper Works)はジョンクーパーワークスの略称です。

2. BEV(バッテリー式電気自動車)

  MINI クーパー
グレード  E   SE  JCW
2025年春発売
価格 463万円 531万円 未定
駆動方式 前輪駆動 前輪駆動 前輪駆動
電気モーター 前1基 前1基 前1基
最高出力 135kW(184PS) 160kW(218PS) 190kW(258PS)
最大トルク 290Nm 330Nm 350Nm
0~100km/h 7.3秒 6.7秒 5.6秒
バッテリー総電力量 40.7kWh 54.2kWh 54.2kWh
一充電走行距離
WLTC
344km 446km
電費 WLTC 127wh/km 133wh/km
車両重量 1560kg 1640kg

※表は2024年10月現在のものです。JCW(John Cooper Works)はジョンクーパーワークスの略称です。

text by minicooper-sketch.com